「THE W」、下ネタより気になった“無理に褒める審査員”の存在…「むしろ女性芸人に悪い印象を与える大会」と思うワケ
おもしろい女性芸人は多いのに……
Dr.ハインリッヒの2人は、未熟なまま決勝へ上がれてしまうTHE Wの現状を「『やっぱ女はおもろない』てこき下ろせる便利な装置になってしまってる」と憂いた。 毎年、THE W開催後に感じることがある。「女性芸人のためという大義名分を掲げながら、この賞レースはむしろ女性芸人に悪い印象を与えているのでは?」と思うことが少なくないのだ。視聴者に変な偏見を植え付けたり、ネガキャンとして機能する恐れを否定できない。 言うまでもなく、おもしろい女性芸人はたくさんいる。アジアンやヨネダ2000らはM-1の決勝に進出した。『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)で脚光を浴びたハリセンボン・箕輪はるかのセンスは特筆ものである。上沼恵美子や今いくよ・くるよは言わずもがな。なにより、今年のTHE Wの2日前に放送された『THE MANZAI 2024』(フジテレビ系)では、海原やすよ ともこが極上の漫才を見せつけたばかりだ。 言葉を選ばず書くと、女性芸人がつまらないのではなくTHE Wがいまいちなのだ。「女芸人No.1決定戦」という賞レースがある一方、2017年に上方漫才大賞を受賞した際に海原ともこが口にした「女芸人と呼ばれるのは嫌で、今後も漫才師と呼ばれ続けたい」という言葉は重い。
女性特有のおもしろさを放出するイベントになっていない
THE Wの片岡プロデューサーは、前述のインタビューでこのように発言している。 「これは自分が女だからかもしれないですけど、『女のほうが面白い』って思うんですよ。女のほうが複雑でわかりにくくて、奥深くて、面白くないですか?」(「CREA WEB」 2024年12月10日) 残念ながら、複雑でわかりにくくて奥深い女性特有のおもしろさを放出するイベントにTHE Wはなっていない。「M-1があるのに、なぜ女性芸人だけの大会を開く?」という指摘への回答を提示するに至っていない。 大したことを言えなくて悔しいが、来年以降も大会を続けるならばドラスティックな変化は絶対に必要だ。 <TEXT/寺西ジャジューカ>
日刊SPA!