日本初の国宝埴輪、実は白かった? 大魔神のモデル、東博調査で判明
日本初の国宝埴輪(はにわ)は、実は白かった――。東京国立博物館が、所蔵する埴輪「挂甲(けいこう)の武人」(6世紀)を調べたところ、全身の大部分が白を基調とした灰色とのツートンカラーに塗られていたことがわかった。専門家は「非常に興味深い発見」と驚く。 【写真】国宝埴輪「挂甲の武人」=東京国立博物館提供 埴輪(高さ約130センチ)は群馬県太田市出土とされ、挂甲と呼ばれるよろいを着た武人の姿。映画「大魔神」(1966年、大映)の武人像などのモデルとされる。74年に国宝指定された。 同館では52年の購入後、2016年から2年以上をかけ、初めてつぎ目などをばらばらにして組み直す本格的な補修作業を実施。あわせて蛍光X線分析などで埴輪の表面を調べたところ、作られた当初は、白、灰色、赤の3色の顔料が使われていたことがわかった。 よろいは白を基調に、灰色と交互に塗り分けられ、よろいの縁取りや手に持った大刀、背中の靫(ゆぎ)と呼ばれる矢入れ具などは赤。首と顔も赤で、腕は白だった。いずれも埴輪を焼成した後、表面に塗ったらしい。 同館の河野正訓(かわのまさのり)・主任研究員によると、この冑(かぶと)とよろいは、小札(こざね)と呼ばれる板状の鉄板と、それを結び合わせるひも状の縅(おどし)で構成されるタイプで、「白い部分は、白銀のように輝く鉄を表現している可能性がある」と指摘する。
朝日新聞社