映画「マンハント」大阪ロケ誘致のキーマンが語る撮影秘話<上>
ロケーションサービスプロデューサーの腕の見せどころ
しかし、ロケ地に決まったからといって安心はできない。近鉄グループロケーションサービスのプロデューサーとしての顔を持つ福原さんは、様々な手配にもまわった。同社には鉄道だけでなく、約140もの様々なジャンルのグループ会社がある。 これだけの規模の映画のロケーションサービスは大きな宣伝につながる。そこで、費用をディスカウントする代わりに条件をつけた。そのひとつが、近鉄グループのレンタカー会社を3か月にわたり1日50台使用してもらうことだった。 「これはすごく大きな収入のひとつになりましたね」と福原さん。そのほかに、ロケに必要な弁当も食品関連のグループ会社を使うようにもっていくなど、様々な手配を行った。
会社の枠を超えて様々な企業とも連携しロケをバックアップ
また、その範囲は近鉄だけには収まらない。「大阪ロケーション・サービス協議会」に集まる様々な企業とも積極的に連携した。 「いくら140の会社があっても、製作側の意図に合うものがすべてあるとは限らない。これは『オール大阪、オール関西』で取り組まなければならないと思いました。こうした経済効果は、はかりしれないものですから。それと、この協議会では私も年上の方なので、みなさん協力してくださいました」と福原さんは笑顔で話した。 そして、いよいよ撮影が始まった。この後、福原さんは、思いもよらない数々の光景を目撃することとなる。 ■福原稔浩 1975年近畿日本鉄道株式会社に入社。近鉄難波駅駅員、西大寺列車区担当の車掌、運転士などをへて1991年に上本町駅助役。1994年広報部の報道担当などを歴任し、2011年に近鉄グループロケーションサービスを立ち上げ。以降、年間100以上の撮影や番組出演をこなしている。