赤楚衛二&上白石萌歌は「戦友のような存在」 20年を演じ切る映画『366日』で活きた信頼関係
■音楽が身近に感じられる本作 赤楚&上白石のそれぞれの音楽ライフとは?
――映画の原案となったHYの「366日」にはどんな印象を持たれていましたか? 赤楚:学生時代の恋愛の時に共に寄り添ってくれるような楽曲だなという印象を持っていたんです。でも撮影を通して、やっぱり“人を想う”というところにフォーカスすると、学生時代の時に恋愛ソングだと思っていた印象が、全然違うような聴こえ方がするようになったので、いろいろな解釈ができるような楽曲なんだなと思いました。 上白石:学生の時に「366日」を聴いた時は、まだ自分が知り得ない気持ちや体験したことのない気持ちを歌った曲だなって思っていたんです。この作品を演じるうえで改めて聴き直すと、あの頃わからなかった気持ちが少しわかるようになりました。本当にいろいろな方に愛されている名曲は歳を重ねるごとにその曲の解像度も上がっていくというか…。楽曲が時を超えて愛される秘密は、いろいろな楽曲の味わい方が年齢によってできるところなんだなと思いました。学生時代に聴いた時は、失恋の痛みみたいなものを描いた楽曲だと思っていたんですけど、改めて大人になってから聴くと、やっぱり人を想うことってすごく幸せだなとか、痛みの先にある愛情みたいなものが含まれている楽曲だな、あの頃に聴いた時よりも温かい曲だなということを、今回改めて感じました。 ――「366日」のアンサーソングとなる主題歌「恋をして」は、クランクイン前から聴いていたということですが、楽曲の印象はいかがでしたか? 赤楚:新曲を聴かせていただいた時は、「いい曲だな」「これ、楽しみだな」と思いながら、お客さん目線で普通に聴いていました(笑)。映画の最後に流れてきた瞬間に、「こんなにも湊の心を代弁してくれている曲なんだ」というふうに改めて感じました。本当に今回の『366日』という映画の全てと言ってもおかしくないような楽曲だなという印象ですね。 上白石:私が新曲を聴いた時は「こんなにも自分の役とリンクする言葉があるんだ」と思ったんです。私は美海の視点の曲だと思っていたんですけど、赤楚さんが湊としても共感できるとおっしゃったので、本当に…恋や愛を体験した人にとって全員に刺さる曲なんだなと思いました。 赤楚:たしかに。 上白石:多分、リアルタイムで「366日」を聴いていた方々は、今30代後半ぐらいの方になると思うんですけど、その当時を生きていた方々にとっての答え合わせみたいな曲にもなるなとも感じました。この作品の最後をとても鮮やかに彩ってくださっている曲でもあると思うので、いろいろな方が「恋をして」を聴いて答え合わせをしたり、気持ちを思い返したりするような重要な曲になるんじゃないかなと思いました。 ――本作はHYの「366日」からインスパイアされた作品ということもあり、劇中でも音楽が身近に感じられる映画でもありましたが、お二人の生活にも普段から音楽は寄り添っていますか? 上白石:私はもう「NO MUSIC, NO LIFE」です(笑)。 赤楚:だよね(笑)。 上白石:はい(笑)。もう大好きで、生きがいです。隙あらばライブに行ったり、移動中もずっと聴いていたりするので、本当に活力ですね。三度の飯より好きっていうぐらい、音楽にたくさん救われてきたので、私にはなくてはならないものですね。 赤楚:僕は最近、聴く時と聴かない時があって…。 上白石:それは、すごくわかるかも。 赤楚:僕にとっても音楽は近しいものではあるけれど、(歌詞と)自分の心がマッチしていない時に、遠ざかってしまうような瞬間があるんです。だから僕は基本的に歌詞がないクラシックが好きなんですよね。そんなに考えずに聴くことができるし、「何か沁みるなぁ」って感じることが多いですね。