SUV超絶人気の“歴史の始まり”は三菱「パジェロ」! 本格オフローダーに市民権を与えたその魅力とは?【歴史に残るクルマと技術048】
●パリダカの活躍がパジェロ人気を加速
パジェロは、発売の翌年1983年からオフロード性能の高さをアピールするため、パリ・ダカールラリー(通称、パリダカ)に参戦。パリダカは、毎年正月元旦にパリをスタート、アフリカの砂漠地帯を走破してセネガルのダカールにゴールする、当時としては世界一過酷なレースだった。 初参戦は、2.5L直4ガソリンエンジン搭載のキャンパストップモデルで、さっそく市販車無改造クラスで優勝。その後、エンジンを同エンジンのターボ仕様に変更して市販車改造クラスに移り、1985年に日本車初の総合優勝を果たす。1990年代から、このパジェロのパリダカでの活躍ぶりをNHKが連日特番で放映しため、パリダカブームに火がつき、パジェロ人気はさらに加速した。 その後も、パジェロはモデルチェンジしながらパリダカに参戦を続け、1997年篠塚健次郎選手がついに日本人初となるパリダカ総合優勝。さらに、1999年からは増岡浩選手が参戦し、2001年から2007年まで破竹の7連覇、7連覇中の2002年と2003年は、増岡選手が連覇するなど、世界の舞台で三菱パジェロは輝きを放ったのだ。
●パジェロの栄枯盛衰、ついに終焉を迎える
1991年に登場した2代目パジェロは、パリダカ人気の後押しもあり絶好調を迎え、RVブームの主役となった。その勢いで、三菱はパジェロのシリーズ化を展開した。1994年に軽オフローダー「パジェロ・ミニ」、1995年には1.1Lエンジンを搭載した「パジェロ・ジュニア」、1998年にはコンパクトカー「パジェロ・イオ」も投入し、パジェロのブランド力を活かした幅広い商品展開を進めた。 その後、1999年に3代目、2006年には4代目が登場したが、2000年を迎える頃にはRVブームは去り、代わりに市場の興味がミニバンやソフトな都会派SUVに向かうと、パジェロの人気に陰りが見え始めた。さらに、三菱の経営状況が悪化したこともあり、パジェロの人気は一気に右肩下がりになった。 これを受け、三菱は国内向けについては2019年の「パジェロ・ファイナルエディション」を最後に生産終了。また、海外向けも2021年に生産を終え、1982年の初代モデル以来、生産台数で約300万台を誇ったパジェロは、39年の歴史に幕を下ろすこととなった。