”無人島”の世界遺産「野崎島」は今…輝く信仰の歴史と進む荒廃 保全への挑戦最前線
NBC 長記者: 「野首集落の象徴ともされる旧野首教会ですが、現在は足場が組まれ補修工事が行われています。完成から100年を超える旧野首教会は、老朽化が深刻な状況です」 ■風雨で傷んだ世界遺産の現状 瓦は痛み、内部では大規模な工事が行われていました。3年がかりの修復工事です。 株式会社 友建設 池田徹さん: 「上の彫刻ですね。その彫刻がむこうの壁のほうはもう腐っているんですよ端々が折れているのでキリスト教のローマ法王とかのあの時の彫刻をやられた方がいらっしゃって、で、その方に頼んで今修復中です」 さらに驚いたのは、建物を支えていたはずの柱の中が空洞になるほど腐食していたことでした。外側の壁に近い程、傷みも進んでいます。 株式会社 友建設 山下政樹さん: 「雨漏りが西側面かなりひどくて、もう埋められている木が腐ってなくなっている状態で。これじゃもちろん屋根を支えることができない」 建物の劣化に詳しい長崎大学の出水享工学博士は、事実上の無人島となっている野崎島の状況も劣化の一因と指摘します。 長崎大学 出水享工学博士: 「元々とここら辺はたくさん家があり人が住んでいましたし、教会の周りも昔は防風林みたいなものがあったという風に聞いています。そういうものが少しずつ減ってきて、風当たりも強いし」 ■50年前の野崎島 明治以降、教会が建設されてからの野首地区では、教会が集落の中心でした。この映像は1970年ごろに撮影された野首地区です。 教会の周りには家がたっていて木も生えていました。こうした建物や木が、結果的に教会を風から守っていましたがー いまは何もない斜面に教会だけが残り、厳しい自然の中に取り残された状態です。 長崎大学 出水享工学博士: 「やはり一番は無人島になって人がいなくなって手入れができなくなった、難しくなったというのが一つの原因」 そして別の問題もー。教会近くで撮影された写真には、檻にとらわれたイノシシの姿が映っています。島では今、イノシシによる被害も深刻です。