面倒だけどメリット大!冬のタネまきでトンネルを設置する理由
『やさいの時間』12・1月号の「しづか&太陽のベジ・ガーデン」「放送15周年記念 選プレミアム」では、ミニダイコンやカブ、ホウレンソウを防寒しながら育てるトンネル栽培の方法を紹介しています。でも、わざわざトンネルをかけるのって面倒くさいですよね。どうして、トンネルが必要なんでしょう? 誌面で紹介しきれなかった内容を取り上げる「こぼれ話」では、冬のタネまきでトンネルの設置が必要な理由をさらに詳細に紹介します。
冬場の問題は、寒さで「とう立ち」する野菜があること
トンネルを設置するわかりやすい理由は、寒い冬でも野菜の発芽適温や生育適温にすることです。でも、それだけではないんです。誌面でも紹介していますが、もう一つの理由は、とう立ちを防ぐことです。 とう立ちとは、花芽(植物のうち花になるもの)がついて花茎(花芽がついた茎=とう)が伸びること。「抽薹(抽苔。ちゅうだい)」ともいいます。植物は、一定の条件がそろうと花芽ができ(花芽分化)、できた花芽が発達すると、葉もの野菜や根菜類では花茎が伸びます。これがとう立ちです。葉の数が増えなかったり、堅くなったり、根が太らなくなったりして、食べてもおいしくないので大問題です。 いくつかあるとう立ちの条件のなかで、低温に当たると花芽ができる現象を「春化(バーナリゼーション)」といいます。
春化には2つのタイプがある
冬にトンネルなしでタネをまいても芽が出ないだけで、暖かくなって発芽適温になれば芽が出てくるので、それでもいいのでは? と思う方もいるかもしれません。でも問題は、芽が出るかどうかではないんです。タネまき直後、芽が出る前の寒さが原因でとう立ちする野菜があることや、もし芽が出ても寒の戻りがあることが問題なんです。先ほど伝えたように、トンネルは野菜を寒さから守ることで、発芽や生育を促すだけでなく、とう立ちさせない(=春化を打ち消す)重要な役割も果たします。 トンネルの役割を説明する前に、ついでに、どんな野菜がどんな条件で春化するのか見てみましょう。