パリ五輪 台湾人女性、応援用ポスター奪われる 外交部が強く非難
(台北中央社)パリ五輪バドミントン男子ダブルスの会場で2日、観客席にいた台湾人女性が持っていた応援用のポスターを中国人とみられる男に奪われるトラブルがあった。外交部(外務省)は3日、報道資料を通じて「強く非難する」と表明した。 女性は、観客席でポスターを持っていたところ警備員に事情を聞かれ、その後ピンク色の服を着た中国人とみられる男にポスターを奪われた。ポスターは台湾本島の形をしており、「台湾加油」(台湾頑張れ)とメッセージが書かれていた。 女性はメディアの取材に対し、入場時に係員からポスターの内容を聞かれ、一部の言葉が書かれた物品の持ち込みを禁止していると説明があったとした上で、ポスターには会場での掲示などが制限されている中華民国の国旗は描かれていなかったため、持ち込みを許可されたと語った。またトラブルの前に女性が「台湾頑張れ」と声援を送ると、ポスターを奪った男は「チャイニーズ」、「タイペイ」などと声を上げていたと話した。 女性は「競技会場でこのようなことが起きて悲しい」と複雑な心境を吐露した。 外交部は今回のトラブルを「暴力行為」とした上で、教養がないと言わざるを得ないばかりか、オリンピックに代表される文明の精神に著しく違反しており、法の支配に背き、言論の自由を侵害していると批判した。 また駐フランス台北代表処(大使館に相当)は中央社の取材に対し、女性の被害届提出を支援したと説明。フランスの外務省などと引き続き意思疎通を図り、情報をパリ五輪の組織委員会にも伝えると語った。 バドミントン会場でのトラブルを巡っては、観客が持っていた「TAIWAN」と書かれたタオルが警備員に没収される様子を写した動画も交流サイト上に投稿されている。 (呉書緯、謝静雯、曽婷瑄/編集:齊藤啓介)