「手首のスナップひとつで向きを変える、元気印の超クイック・ステアリング!」by 佐野弘宗 これがアルファ・ロメオ・トナーレPHEVに乗った自動車評論家のホンネだ!!
素晴らしいハンドリング・マシン!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! アルファ・ロメオの最新SUV、トナーレ・プラグイン・ハイブリッドに乗った石井昌道さん、佐野弘宗さん、藤原よしおさんのホンネやいかに? 【写真25枚】盾グリルと5ホールデザインホイール、内装なら独立2眼風メーター、アルファ・テイスト満載のトナーレPHEVの詳細画像をチェック ◆「2面性を楽しめる」石井昌道 アルファ・ロメオはSUVであってもスポーティに走らせるのが大好きな人たちが造っているのだということは、FR系プラットフォームのステルヴィオで感じていたが、ハードウェアはまったく違うFF系プラットフォームのトナーレでも同様だった。 ステアリング・ギア比がクイックで切り始めるとノーズがグイッとインへ向いていく。まるでクルマが曲がりたがっているようなのだ。 一昔前のアルファ・ロメオも、そういった味付けだったがシャシー性能が追いつかず、いざコーナーに入っていくと急にアンダーステアになったり、逆に巻き込んだりしたものだが、テールがムズムズとしながらもコントローラブルで、じつに心地良くコーナーをクリアできる。 PHEVはバッテリーをフロアに搭載して重心が下がっているから、SUVのネガが消えていて素晴らしいハンドリング・マシンになっているのだ。 一般的なハイブリッドに比べればモーターは強力なので低速からのダッシュは鋭く、速度が伸びるとエンジンパワーが本領を発揮。エンジン車やBEVでは得られない2面性を楽しめるのもPHEVならではだ。 ◆「まったく迷いがない」佐野弘宗 トナーレはグループ内のフィアット500X、ジープのレネゲードやコンパスとアーキテクチャーを共有するアルファ・ロメオだ。つまりはFFベースのコンパクトSUV。ステルヴィオとジュリアが出て、てっきりFRレイアウト専用の上級ブランドに移行すると思いきや……の迷走感はちょっとある。 実際、この伝統のスポーティ・ブランドの売り方には、葛藤や迷いも多かろう。ただ、どんなアーキテクチャーでも、デザインや乗り味にはまったく迷いがないのが、アルファの強みでもある。 誤解を恐れずにいえば、外観なら例の盾グリルと5ホールデザインホイール、内装なら独立2眼風メーターがあれば、アルファに見える。こうしたお約束が通用するのは、長い伝統を積み重ねてきたゆえの強みだ。 走りでいえば、手首のスナップひとつで向きを変える、元気印の超クイック・ステアリングが最新アルファのお約束。昭和オヤジ的にいえば、いやいや伝統のアルファのコーナリングは、もっと滋味深くてじんわりしたもの……といいたくなったりもするが、時代に合わせて変わっていくのも、また伝統ということか。 ◆「これがあのアルファ!?」藤原よしお 1.3リッター直4ユニットと聞いて、750系ジュリエッタのDOHCユニットを連想するのは立派なロートル。前後にモーターを備えたスムーズでイージーで静かなパワートレインの仕草を通じて、この先BEVメーカーに生まれ変わる彼らにとってエンジンはもはや脇役なのだと改めて思い知る。 よってD(ダイナミック)モードにしてもエンジンの官能性が高まる気配はなく、クルマ全身がピシッとシャキッと元気になる感じ。「これがあのアルファなのか!」と隔世の感あり。 一方でステアリングの反応は想像以上にクイックでスポーティ。ヴェローチェに標準装備の電子制御ダンパーも良い仕事をしていて山坂道では滅法速く「さすがアルファ!」とホッとする。 よく見るとインパネは色っぽくクラシカルなデザインだし、室内はしっかり広く快適だし、荷室も十分以上。これにちょっとワイルドなエンジン詰んで、6段MTなんか用意したら、アルフィスタたちの新たなスタンダードとして喜ばれるかも? って想像してワクワクしたのだけれど、その発想自体がそもそもロートルなんですよね。 写真=神村 聖(メインとサブ)/小林俊樹(リア走り) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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