やけどした債券トレーダー、世界的な利下げ見込むトレード再開
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度など世界の主要中央銀行が6月にも利下げに踏み切るとの見方が強まる中で、債券トレーダーは数週間前にやけどした賭けを慎重に積み直している。
主要中銀が2024年に速やかに金融緩和に踏み切ると見込んだ以前の賭けは、目標を上回るインフレと底堅い需要を重視する姿勢を当局が維持したため裏目に出た。しかし、先週のスイス中銀の予想外の利下げに加え、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やイングランド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)の総裁らがハト派的な見通しを示したことから、投資家は再び緩和に備える構えを取っている。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やブラックロック、かつての債券王ビル・グロース氏らの間では、金利低下が見込まれる中、利下げ観測が高まるにつれ最も利益を得ることができる期間5年以内の期間が短めな債券の魅力が増している。
期間長めの債券に対する短期債のアウトパフォームは、イールドカーブ(利回り曲線)が伝統的な上り勾配に戻る、いわゆるスティープ化の道筋となる。もちろん、インフレが依然として根強く、労働市場が引き続き持ちこたえていることを踏まえれば中銀が期間短めの債券への強気姿勢を裏付けることができないリスクは残る。
ドイツ銀行の経済・テーマ別リサーチ部門グローバル責任者ジム・リード氏は、市場は「ハト派的なシナリオに注目しているが、金利に関するセンチメントは24年にかけて一進一退を繰り返していることを念頭に置く価値はある」と指摘した。実際、市場は今のサイクルで7回ハト派的な政策に傾き、過去6回は実際にタカ派的な結果になったとリード氏と同僚はみる。
23年終盤には、米国債市場は3年連続のマイナスリターンになるかと思われたが、政策当局が24年の早期に利下げに踏み切るとの期待感が世界市場に広がり、年末にかけて相場は上昇した。現在、金利は同調しているように見えるものの、各国・地域中銀が異なるスピードで動く可能性はまだあり、それが投資収益を得るチャンスになるかもしれない。