海外留学したい高校生の「大学選び」 長期留学しづらい学部は?4年で卒業するには?
私費留学でも4年で卒業できる?
行きたい協定校がなかったり、大学での学びとは違う勉強をしたかったりする場合や、学内選考がうまくいかなかった場合は、休学して私費留学という選択をすることになります。私費留学も、大きく2つのパターンに分かれます。 「一つは『認定留学』などと呼びますが、私費留学であっても内容によっては単位移行が認められることがあります。留学前に申請すれば大学で可否を判断してもらえ、確定するのは帰国後になりますが、単位として認められれば4年間で卒業することが可能です。認定留学の場合、留学中にかかる学費は、日本の大学に払う休学費と留学先の授業料になります。今は1年間の休学費が数万~十数万円という大学が少なくありません」 単位移行が難しければ、日本の大学を卒業するまでに5年かかります。その場合、日本の大学の学費4年分に加えて、留学期間中の休学費と海外大学の学費を払うことになります。 交換留学、私費留学を問わず、気をつけたいのが生活費です。 「円安の今は、アメリカやカナダ、イギリスでは、生活費だけで年間約200万円かかるところがあります。一方、アジア圏は50万円ほどで済むでしょう。そのため私費留学に限らず、アジア圏を選ぶ学生も増えつつあります」 アジア圏の大学にも、現地語のほかに、英語で学べるプログラムが多くあります。費用を抑えられるうえに、英語圏とは違った研究をしたり言語を学べたりする留学先として、選択肢に入れてもいいかもしれません。
長期留学しにくい学部は?
では、留学を希望する高校生が大学を選ぶ際に、何を意識したらいいでしょうか。 「学びたいことを軸に考えるべきだとは思いますが、薬学部や看護学部などは実習などがあるせいか、長期留学する学生はあまり聞きません。工学部、医学部、生物系の学部なども少なく、大学や学部によって協定校が少ないところもあります。ですから交換留学を目指すなら、気になる大学・学部にどのような協定校があるのか、大学のホームページなどを見ておくといいでしょう」 確実に留学したいなら、留学を必修としている大学・学部を選ぶ手もあります。 例えば、早稲田大学国際教養学部、国際教養大学(AIU)、創価大学国際教養学部、九州大学共創学部などは、1カ月から1年程度の留学を必修にしています。千葉大学では多くの学部等において全員が10日以上の留学を、学習院大学国際社会科学部では4週間以上、京都産業大学国際関係学部では3週間程度の海外研修を全学生に課しています。 これらは交換留学と同様に海外大学の学費が免除されるケースが多く、費用を抑えられます。創価大学国際教養学部のように、往復航空券代、海外旅行保険料まで全額免除しているケースもあるので、留学にかかる費用も見比べておくといいでしょう。 「英語で学ぶことを重視するなら、早稲田大学国際教養学部、法政大学グローバル教養学部、明治学院大学国際学部国際キャリア学科など、授業を英語で行う大学や学部に行くのも手です。世界を広げたいなら、東洋大学国際学部国際地域学科など、海外でのフィールドワークに力を入れているところも選択肢になるかもしれません」 つまり、「留学に何を求めるか」を考えることも、大学・学部選びのカギになりそうです。コスト面については、国や大学独自の奨学金のほか、民間団体による返済不要の奨学金も増えているので、情報収集しておきましょう。