自動倉庫など物流システム機器の出荷、2年連続6000億円超え。海外向けも回復
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の物流システム機器生産出荷統計によると、2023年度の物流システム機器の総売上(出荷)額は前年度比3%増の6330億3100万円となり、2年連続で6000億円を超えた(グラフ)。受注が高水準で推移している上、半導体不足の解消により出荷が進みつつあるという。海外向けの売上額も、増加に転じた。 JILSは物流の「2024年問題」をはじめとする労働力不足への対応などの影響について、引き続き注視する必要があるとしている。出荷の先行指標である受注額を見ると、23年度は7194億2000万円だった。前年度から15%減少したが、高い水準を維持した。 一方、前年度の受注額と売上額の差が縮小傾向にあることから、物流システム機器の需要と供給は徐々に均衡しつつあるとみられる。 23年度売上額の業種別シェアを見ると、電機・精密機器向けが依然として1位で、前年度と同水準の32%だった。輸送機器・部品が前年度の6%から13%、卸・小売りが16%から27%に大きく拡大したことも目立った。 それ以外の業種のシェアは、食品・医薬品等=8%▽その他製造=11%▽倉庫・運輸=6%▽官庁・図書館等=1%▽その他=3%―。 機種別のシェア上位の売上額を見ると、台車系が46%増の1659億3700万円となり、大きく伸びた。天井走行台車が58%増、無軌道台車システムが10%増だったが、有軌道台車システムは31%減だった。 自動倉庫は5%減の1320億円だった。ただしバケット用自動倉庫(ユニット式)は5%増。また、クリーンルーム向けは13%増だった。 コンベヤー系は17年度以降増加傾向だったが、9%減の1467億6300万円と前年割れだった。ケース搬送用の21%減が響いた。 仕分け・ピッキング計も21年度から増加傾向だったが、26%減の297億1300万円に減少した。過半を占める仕分け機が35%減となり、実績を押し下げた。 このほかの機種の売上額と前年度比増減率(%)は、回転棚・移動棚=0・6%減・192億1700万円▽棚=3%減・326億7700万円▽パレタイザー・デパレタイザー=26%減・85億3400万円▽垂直搬送機=19%増・171億1800万円▽コンピューター=5%増・455億8100万円―。 ■海外向け、5年ぶり増 海外向け売上額は29%増の1832億900万円と、5年ぶりのプラスに浮上した。海外向けの87%を占めるクリーンルーム向けが36%増だった。機種別ではクリーンルーム向けが95%に達する台車系が61%増となり、コンベヤー系は38%増だったのに対して自動倉庫が16%減だった。 JILSは日本物流システム機器協会の協力で、調査を実施している。国内主要メーカーを対象にアンケートを行い、物流システム機器25機種(フォークリフト、パレットを除く)について、23年4月―24年3月の実績を集計した。
日本海事新聞社