ABCが1月に「災害とメディア」検証フォーラム ── 阪神・淡路大震災から来年で20年
報道は、何ができて、何ができていないのか──。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から来年で20年を迎える。そこで、大阪のテレビ・ラジオ局「ABC朝日放送」が災害報道のあり方を考える「阪神・淡路大震災20年フォーラム『災害とメディア』」を来年1月10日にABCホールで開催、現在参加者を募集している。「報道機関は災害に対してどう向き合うべきなのか」などを記者や専門家らの討議を通じて考えるという。この企画メンバーには、間もなく退職を迎える元報道局長もおり「もちろん報道機関にとっては耳の痛い話しもあるやろうけど、最後にこれだけはやっとあかなアカン」と気合い十分で臨む。
「どんな報道をすれば」を検証しながらのフォーラム
「もう20年もたつと当時を知る人が少ないですわ」と話すのは、同局広報局OPEN↑(オープンアップ)推進部部長の淺尾武史さん(47)と古川知行さん(64)さん。淺尾さんは、長年ラジオ局ですごし「ABCラジオのジャイアン」として知られる元名物プロデューサー。そして、古川さんは同局の元報道局長で「サンデープロジェクト」「ムーブ!」などの番組の元プロデューサーだ。 古川さんは「20年も経てばあの揺れの恐怖を体験した人は体にしみこんでいると思うけど、神戸市内でも震災を体験した人は6割、知らない世代が4割と聞いています」と話す。 この20年で東日本大震災などの大地震がいくつか発生。「いつも起きてから、あーでもない、こーでもないという論議の対象になるが、メディアとして『どんな報道をすれば』ということを検証しながらフォーラムをしていければ」と考え、淺尾さんらとともに企画したという。 「これまでの反省を込めながら『こんなことできる』『こんなことはできない』とか、でけへんことはあからさまに話し、今の形ではこんなことできるとかいうのを正直にできれば」と古川さんは続ける。
当時を知り今も現場に立つ気象予報士・正木さんの報告も
また、今回の企画で中心となったのは、同局報道局ニュース情報センター記者の木戸崇之さん(41)。木戸さんは20年前、同局へ内定が決まっていた大学4年生だったが、電話対応などの仕事を担当したという。 現在は、社内研修制度を使って阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」の研究調査員としての顔も持つ。「昨年発生した『淡路島地震』の時、現場取材をしていましたが、ふだん訓練していても段取りが悪かったり、危機感が薄れているなどの課題は多い」と話す。 「20年前に緊急対応の修羅場をくぐってきた人たちは、現場を離れている人が多い」と木戸さん。そこで、今回は当時の様子を知り、今も現場に立ち続ける気象予報士の正木明さんの報告が予定されている。 「正木さんは、震災当時から情報番組の天気を担当していて、あの現場を身をもって体験して今も現場にいる唯一の人。いろいろ話してもらえる」と続ける。