ゲーセンが減っても大人気! 「ゲーセンミカド」店長が語るゲームセンターの魅力と生存戦略
ゲームセンターの倒産や廃業が2年連続で増加するなど、苦境を強いられているゲーセン業界。そんな中で東京・高田馬場と池袋に店舗を構える「ゲーセンミカド」は、常識に捉われない「何でもやる」スタイルを貫き、毎日にぎわいを見せている。一例を挙げると、動画配信へのいち早い参入やコロナ禍での強化、大会やイベントの実施、グッズ制作、クラウドファンディング、店長と店の半生をつづった本の出版...。そして最近では銀座の高級ホテル「ハイアットセントリック銀座東京」とコラボし、レトロゲーム筐体をレンタルしてイベントを行っている。 【写真】ゲーセンミカド店長の池田稔氏 街のゲーセンが減りゆく中で、ミカドがとった生存戦略とは何なのか? そしてなぜこれほどまでにゲームファンの支持を得るのか? 店長の池田稔氏に話を伺った。 ◆大手ゲーセンにはない企画力とレトロゲームで勝負 ――ゲーセンミカドといえば豊富なレトロゲームや、大会の配信文化のイメージが強いですが、そういった要素を大事にしている理由は? 池田 2006年にミカドの新宿店をオープンさせたんですが、設置してある筐体がレトロゲーム中心になっていったというのは、実はそうせざるを得なかったからなんですね。新しいゲームで大手のゲーセンに対抗しようとしても、どうしても資金面や規模では勝つことができない。だから、このままお客さんを他店と取り合うのは不毛だと感じて、『ストリートファイターII』など90年代の格闘ゲームなどを中心に揃えていったんです。 逆に大手ゲーセンは企画力がなくてもお客さんが集まりますから、企画を打ち出すノウハウがあまりない。そこでミカドはオープン当初から大会を行ったり、その様子を録画してYouTubeやニコニコ動画にアップしたりしていました。まだ「動画配信」なんて言葉が浸透していない頃から、筐体の映像を外部出力するために試行錯誤してましたね。 最初に大会の様子を生配信したのは2011年ごろ、YouTubeでもニコニコ動画でもなくてUstreamでした。 ――名作ゲームはもちろんのこと、マニアックなゲームの大会も行うなど、ミカドはイベントへの力の入れ具合を感じますが、イベントにこだわる理由は? 池田 僕は高卒でゲームセンター会社に就職して、当初はゲーセン業界の売り上げはとても良かったんです。でも、時代が経つにつれて少しずつ陰りが見え始めてきました。そこで、さっきも言ったように企画を打ち立てて、SNSもない時代ですからチラシを撒いて集客する。そういう工夫をするのが当たり前だったんですね。 名作と呼ばれるゲームの世界大会なんかもやっていますが、一見「こんなの誰がやるんだよ」っていう変わったゲームでも、今は配信とSNSというツールがあるので意外とお客さんが面白がってくれてイベントが成立してしまう。イベントを運営していると、そういう面白い発見にしょっちゅう出会いますね(笑)。 その延長で、例えば「キャラクターを作ってグッズを売ろう」とか、「コロナ禍で休業要請が出たからクラファンを実施しよう」とか、これをやったら面白そうだというネタを柔軟に実行していくようにしています。