【サーキット名に由来】様々なスタイルで展開されたホイヤーのレーシングクロノ
クォーツショックの影響が顕著に表れる1970年代以降、スイス時計メーカーでは経営難を理由にオーナーが変わることも珍しくなかった。ホイヤーもそのひとつで、82年に創業家の手から離れてピアジェ傘下に入った後、85年にはTAGグループへと移り、現在のタグ・ホイヤーへと改名している。 タグ・ホイヤーに改名して以降(LVMH傘下に移る99年まで)は、同社も主力をクォーツモデルに置き換えていくことになるのだが、ホイヤー時代における晩年には、機械式自動巻きムーヴメントを搭載し、様々なスタイルのクロノグラフモデルを展開していた。 とりわけ豊富に展開されたのが、当時絶大な人気を誇ったカーレース仕様のクロノグラフモデルだ。 そのなかでカレラやモナコなどの一部モデルは、現代でもレギュラー展開され、ブランドのアイコンとして定着している。 【魅力的なモデルが満載の70年代ホイヤー クロノグラフ】
今回取り上げるのは、そんなレーシングクロノのひとつで、スクエア型ケースが特徴となった“シルバーストーン”だ。 今日、同社のスクエアモデルと言えば“モナコ”があまりにも有名だが、実は当時(1969年初出)のモナコはホイヤーが期待したほどの人気を得られなかったという。そこで、1974年にその後継モデルとして“シルバーストーン”を投入したという曰く付きのモデルなのだ。ちなみにモデル名はイギリスにあるサーキット名に由来しており、同モデルの後にデイトナ、モンツァ、ハラマといったモデルが続いた。 ただ、このシルバーストーンも70年代にカラフルな3モデル、80年代半ばに1モデルという限定的な展開に留まったため、現在の市場在庫は少なく、希少モデルとして愛好家から珍重されている。
文◎Watch LIFE NEWS編集部