「性器を見られるのが恥ずかしいわけではない」 元AV女優・澁谷果歩が明かす無修正流出訴訟の背景
解決金は受け取らない一方、業界としての態度を示すことで和解
流出した元データはカメラマン、監督、メーカー、編集会社の4者が所有しており、そのいずれかから流出したものと見られるが、流出経路は依然として判明しておらず、4者のどこから漏れたかが分からない以上、法的責任を問うのも難しいというのが現状だ。あらためて訴訟の焦点について、澁谷さんは「性器を見られるのが恥ずかしいというわけではまったくない」と強調する。 「日本の法律では、モザイクの有無が適法か違法かの線引きになっています。無修正動画が流出するということは、女優が違法行為に加担していると取られる可能性があるということ。実際に、過去にはそれで逮捕された女優もいました。私自身、裸を見せることに誇りを持って仕事をしてきたので、今更性器を見られたから恥ずかしいということはありません。あくまで日本の方の枠組みの中で、違法行為に加担したと思われるのが心外だということ。例えば仮に、これを機に法改正でモザイクがなくなるなら、私はそれはそれで構わないとも思っています」 4者とはその後、和解条項が決定。原告(澁谷さん)が解決金を受け取らないかわりに口外禁止の要望は受け付けず、被告側は「流出への遺憾の意を表す」「今後漏えい事故の防止に努める」ことを約束してもらうことで合意したという。 「解決金はありませんが、どちらにしろ裁判費用を差し引いたらマイナスになる程度の金額。最初からお金でなく、業界としての態度を示していただくことが目的だったので、これでやっと一区切りというところ。本当は流出の裏ルートまで分かればよかったんですが、それでも今回の裁判をきっかけに、長年放置されてきた流出問題に一定の歯止めはかけられると思う。もともと閉鎖的な業界でしたが、私の引退後にAV新法が成立して、今では透明性も生まれ、業界で常識とされてきたことが世間では非常識だったということが浸透してきていると思います。私のような人間が声をあげることで、業界がより健全なものになっていくことを願っています」 さらなる業界健全化の契機となるか。
佐藤佑輔