「どれが一番儲かるの?」は禁句 iDeCoで運用する金融商品はどう選ぶ?
「分散投資」はiDeCoの中だけでなく自分の資産全体で
では具体的にどうやって分散投資をすればいいのでしょうか? そもそもiDeCoの中だけで資産分散をしていてもあまり意味はありません。自分の資産全体で分散しておくことが重要です。例えば株式や投資信託のような価格変動リスクのある資産と預金などのようなリスクの少ない資産は自分のリスク許容度に合わせて一定割合で保有しておくことが必要です。 運用益に税金が掛からず、長期運用になるiDeCoではリスク資産を、iDeCo以外では預金などの低リスク資産を運用するのが合理的な判断と言えます。
世界市場への分散投資のポートフォリオの考え方
では、iDeCoの中でリスク資産=投資信託で運用する場合、どのように分散すればいいのでしょうか? いろいろな考えがある中、ベストな答えを一つだけ出すのは難しいのですが、私はきわめてシンプルに考えています。 それはどこの市場に投資すればいいのか予測が困難な場合、世界の市場全体に投資をすればよいのです。つまり世界各地域の株式市場に対して、その規模に応じて資金を配分して投資をするというやり方です。iDeCoで毎月5000円で運用する場合でも、その金額で世界全体の株式市場に投資することもが可能です。 具体的に考えてみましょう。各国、各地域と言っても、全ての国別の投資信託があるわけではありません。ここはざっくりで構わないので、日本の株式、日本を除く先進国の株式、そして新興国の株式といった具合に分けてみます。そうすればそれぞれを投資対象とする投資信託はありますから、それに分散すればいいのです。 実際の市場規模で見ると、日本がおおよそ8.4%、日本を除く先進国が83.4%、そして新興国が8.2%ぐらいですので、ざっくりと日本:先進国:新興国を10:80:10でも良いし、8:84:8でも構わないと思います。iDeCoの場合は掛金を1%単位で配分することができるのでこのように配分することも簡単にできます。 これが最も合理的な分散投資で、実際に私はリスク資産全体でこのような割合で資産配分するようにしています。もちろん、これは私の考えですからこれが一番いいかどうかは別です。iDeCoは自分の責任において資産を選んで運用する仕組みの制度ですから皆さん自身がそれぞれの考えで資産配分をすればよいと思います。ただ、制度として長期投資にならざるを得ないのがiDeCoの特徴ですから、iDeCo以外での分散投資も併せて考慮に入れるのが重要だということをくれぐれもお忘れなく。 (経済コラムニスト・大江英樹) 日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行動経済学会会員。著書に『定年楽園』『その損の9割は避けれる』(三笠書房)『老後貧乏は避けられる』(文化出版局)、最新刊に『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社)など著書多数。