独自ブランドを海外へ 元協力隊の小林美晴さん 天城町
パッションフルーツの皮を用いた草木染めのTシャツ、海外の鮮やかな生地をあしらったデニムパンツ。オリジナル色豊かな服の展示販売会が12日まで、鹿児島県・天城町役場の1階ホールで開かれた。主催者は元地域おこし協力隊の小林美晴さん(37)。昨年9月に同町でアパレルブランド「MIHARUKA」を立ち上げた。「ゆくゆくは海外へ売り出したい」と意欲を見せている。 小林さんは大阪府出身。2010年に国際協力機構(JICA)の海外協力隊として訪れたマレーシアで現地の伝統的な生地に魅了され、服飾に興味を持った。帰国後は教員を務めたが一念発起して単身イタリアへ。フィレンツェのアパレルブランドに飛び込みで弟子入りして技術を磨いた。「当時は全くの素人。タグやボタンを付ける作業からスタートした」と振り返る。 イタリア滞在時に徳之島出身者と出会ったことが縁で、20年7月から昨年7月まで天城町の地域おこし協力隊を務めた。移住後に母方の祖母が同町出身だったことも判明。「移住の候補地はほかにもあったが、知らないうちに天城町を選んでいた。不思議ですね」と笑う。 ブランドの基本理念は「つながりから生まれた素材で創造する」。デニムは父親のルーツである岡山県から取り寄せるほか、マレーシア、セネガル、ガーナなど海外の伝統的な生地も用いる。染色の材料は島内にあるパッションフルーツやゲットウ。防染に用いる蜜ろうも町内の養蜂家から分けてもらった素材から自作している。 島内の原料と手作業にこだわる理由は大量生産、大量消費で成り立つファストファッションへの抵抗感だという。「服を作るまでに費やされる資源やエネルギーは社会問題になっている。捨てられていたものや使われていないものを活用しながら、今までにない服を作りたい」と思いを語った。 小林さんは今年2~3月には大阪府内の3カ所で販促イベントを開いて好評を得たほか、8月には大阪市の阪急うめだ本店でもイベントを開く予定という。 「使い捨てでなく愛着を持って長く大切に使ってもらえる服を作ることが目標。ぜひ一度手に取って価値を確かめてほしい」と呼び掛けた。
奄美の南海日日新聞