『着物文化』長崎に根付かせたい 観光客らにレンタル 雇用創出、タクシー割引も
長崎のまちに着物文化を根付かせようと、長崎市東山手町の大原万里亜さん(54)が観光客らに着物をレンタルする「Nagasaki kimono project」に取り組んでいる。100着以上の中から好みの着物を選べる楽しさが、修学旅行生や外国人から人気を集め、着付師らの活躍の場にもなっている。 今月上旬、4人の修学旅行生から予約が入った。「紫の着物だから、髪飾りは白とか赤が似合う」と大原さんがアドバイス。スタッフ3人は約1時間で全員の着付けとヘアセットを仕上げた。千葉県の高校2年、一柳沙英さんは「長崎のおしゃれな町を着物で歩きたかった。着物や帯を選ぶのが楽しい」と満面の笑みを見せた。 大原さんは、布ナプキン・布おむつ専門店「りぼん」の代表と長崎女子短大付属幼稚園の園長を兼務する。プロジェクトの始まりは10年前。着物がどんな体形にも合い、包み込んでくれる感覚を気に入り、まちづくりとして、地域の行事で子どもたちに着物を着せたりしていた。一方、観光地を足早に巡る観光客の過ごし方にさみしさを感じ、「着物を着て移動を含む全ての時間を思い出にしてほしい」。以降、「観光と着物の町」を掲げ活動している。 着付けを担当するのは資格を持つ主婦や元着付師など約20人。予約日に出向ける人が対応する。長崎タクシー共同集金(長崎市)とも連携し、プロジェクトで着物を着た人がタクシーを利用すると料金を割り引く制度も取り入れている。 プロジェクトは9月、市中心部のにぎわい創出に取り組む「まちぶらプロジェクト」に認定された。大原さんは「自分たちでも長崎のまちを変えられる。資格を持っているけど生かせない人が力を発揮できるように。みんなで楽しめることをしたい」と話す。 料金は5500円から。予約は前日までに、旅行予約サイトや電話などで受け付ける。問い合わせは大原さん(電090・6290・4356)。