<柄本佑>剃髪姿にご満悦「できたらこのままがいい」 「光る君へ」地毛剃り落した“出家シーン”は 「一気にグッときて」
「だから倫子との間にいざこざがあって、明子のところに行くけど、明子のところでもいざこざがあって、結局は内裏で寝泊まりする。どちらにも行かなくなるっていう(笑)。この作品の中で道長は、どちらにも向き合っていないんです。これはまずいな、とは思うのですが、台本がそうなっているからしょうがないですし、とにかく演出の方々から言われていたのは、そのことに関しても『道長は気がつきません』と。だから、少年のような、天然のような、道長さんが持つおおらかさが、そこら辺につながればいいなと思っていました」
◇「とにかくまひろ」の道長 クランクアップ後も終わった実感なし
そんな道長ではっきりとしていたのが「とにかくまひろ」で、「対まひろか、その他大勢か」という姿勢。
「そういうふうに目論んで脚本の大石(静)先生は書いていらしたでしょうし、まひろが内裏に上がってからですが、台本にもト書きで書いてあったんですね、『道長はまひろとのことになると周りのことは見えなくなる』と」
だから道長の出家は、まひろの“旅立ち”とは無関係ではないというのが柄本さんの見解だ。
「まひろがいなくなってから、わりとすぐに出家しているから、そうとしか思えないですよね。倫子には出家の理由を『休みたい』と言っているのですが、『とにかく疲れ果てた』と。まひろがいなくなったショックや政治的なこともあって『休みたい』というせりふに行きつくのは、大石先生に、地に足がついた決して立派じゃない道長を作っていただいた感じでして、すごくいいな、すてきだなって思いました」
約1年半にわたる撮影期間の一つの象徴でもあった長い髪を、撮影で実際に剃り落した出家シーンは「不思議な体験」と振り返る。
「髪が降ってきて手の甲に当たった瞬間から、一気にグッときて、剃っているんだ、髪がなくなっていっているんだって、触覚で実感したというか。作品の中でやれるってことが、とても不思議な感じでした」