テリー・ライリーが京都・清水寺の舞台で演奏を奉納 満月の下、約50名の演奏家が奏でたミニマルミュージックの祝祭をレポート
米国出身のミニマルミュージックの巨匠、テリー・ライリー。 2020年以降、日本に居を構える彼が約50名の演奏家と共に、今年生誕60周年を迎えた自身の代表作「In C」(1964年)を演奏するコンサート『In C-60th Birthday Full Moon Celebration at Kyoto Kiyomizu-dera Temple, July 21, 2024~「In C」誕生60年を祝う奉納演奏 ~』が、京都・音羽山 清水寺で開催された。 【全ての画像】清水寺で開催された「In C」誕生60年を祝う奉納演奏撮りおろし画像(全9枚)
◼︎世界遺産「清水寺の舞台」で伝説曲の演奏を奉納
7月21日、「祇園祭」期間中の京都の蒸した夏の暮れ。閉門後の清水寺の山門をくぐり、本堂へと足と運ぶ。この日は満月。だが、夕焼けの色が残る空に浮かぶ雲は厚く、雷光が時折光る。 世界遺産にも登録されている清水寺は、1200年の昔より、本堂に祀られた本尊、千手観音菩薩に祈りを捧げる聖地。 本堂から張り出した「舞台」は、ご本尊である観音菩薩に芸能を奉納する場所として、古くから雅楽や能、狂言、歌舞伎などの舞台奉納が行われている。 この日この舞台で奉納される「In C」は、53の断片(figure)が反復する中、微細な変化をはらみながら展開していくミニマルミュージックの伝説的な逸曲だ。 1964年に誕生した「In C」が今年60周年を迎えたことから、「お誕生日を祝いたい」というテリー・ライリー本人の希望で、清水寺での祝祭が実現した。
◼︎「京都だから…」15年ぶりにテリー・ライリー本人による「In C」の演奏が実現
「In C」はこれまで長きに渡り、世界中でさまざまな音楽家たちによって何度も演奏されてきた。しかし、2009年に開催されたニューヨーク、カーネギーホールでの演奏を最後に、テリー・ライリー自身は「In C」を演奏することからリタイアしている。 だが、「京都という街が纏うスピリチュアルな雰囲気は、『In C』という楽曲が狙う意図にも一致する」というテリー・ライリーの公式コメントの通り、今回だけは例外として、御歳89歳になるテリー・ライリー本人も約15年ぶりに演奏に参加する。 そんな特別な祝祭に参加するのは、テリー・ライリーの弟子にあたるSARA(宮本沙羅)、梅津和時、永田砂知子、大野由美子(Buffalo Daughter)、ヨシダダイキチ、蓮沼執太、AYA(OOIOO)ら約50名の演奏家たち。 彼らと共に、遠くに雷光が見える「舞台」という「野外」で、「In C」はどんな風に奏でられていくのだろうか?