平昌五輪でテレビ視聴率も金メダル級だった理由。ネット視聴との共存は?
2008年の北京五輪からハイライト動画を中心にサービスを開始した、民放各社が共同で運営する五輪公式動画サイトgorin.jpは、2016年リオ五輪からライブストリーミングも積極的に行っている。今大会もHPとアプリでさらに多くの試合が観戦できるように拡充された。NHKも同じようにライブストリーミングやハイラ イト動画を独自のアプリやHPで公開している。いずれも、BSでしか放送がない競技や日本が出場していない種目でも中継が見られるためファンからは好評だった。 NHKはさらにTwitterでも注目の動画を配信した。そちらは画面上で再生回数が確認できるが、もっとも再生回数が多いのが羽生の実況なしフリーで約360万回超。女子団体パシュート決勝の45万回超や、女子500メートル決勝の約60万回、ユニークなところでは2月20日配信のカーリング女子のおやつタイムの約35万回などがある。見たい場面を気軽に繰り返し見られる、ハイライト動画が好まれる傾向にある。 リオ五輪では、gorin.jpにおけるハイライト動画の再生回数は2700万回で、2012年ロンドン大会の約3倍になった。大会期間中のサイト閲覧人数も1240万人となり、ロンドン大会と比べて約5倍になった。もうひとつの五輪関連動画を提供していたNHKでは、リオ五輪で競技のハイライト動画を特設サイト、公式ア プリ、YouTubeなどで393本を配信、計約7929万回再生されている。 前出のテレビ局関係者は「まだネットとテレビ視聴の関係性についての分析はしっかりとできていませんが、今回に限っていえば、視聴者を食われるのではなく、むしろ相乗効果があったのではないかと感じています。録画ハイライトはネットで生はテレビでという流れがあったのではないでしょうか」と分析している。 日本では、まだ積極的には試みられていないが、欧米では、InstagramやSnapchatなどのSNSで積極的に競技の見どころがわかる動画を公開している。これも最近のIOCが熱心に取り組んでいる、若年層のオリンピックファン開拓の試みのひとつだろう。テレビがネットか。2020年東京五輪では、現場にいけないファンの観戦スタイルはどう変化しているのだろうか。