犯罪収益が混在の財産没収は「合憲」、最高裁が初判断…組織犯罪処罰法の規定は「必要かつ合理的」
マネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐため、犯罪で得た収益が混在している財産は没収できるとする組織犯罪処罰法の規定の合憲性が争われた刑事裁判の上告審判決で、最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は17日、「規定は合憲」との初判断を示した。5人の裁判官全員一致の意見。
被告の女(35)(岡山県津山市)は2021~22年、高級ブランド・エルメスの偽バッグなどを販売して得た収益が含まれる計1764万円を親族名義の口座に移して隠そうとしたとして、同法違反や商標法違反などに問われた。
1審・岡山地裁津山支部は被告を懲役2年6月、執行猶予3年などとし、口座に残っていた1564万円の没収を命じて、2審・広島高裁岡山支部も支持した。
上告審で弁護側は「正当な経済活動で得た財産も没収するのは憲法で保障された財産権を過度に制限している」と主張し、犯罪収益と認定できるのは約840万円にとどまると訴えた。
これに対し、同小法廷は「犯罪行為に関わる財産を広く没収対象とすることは、犯罪を予防するという組織犯罪処罰法の目的を達成するために必要かつ合理的な措置だ」と指摘し、被告側の上告を棄却。被告の有罪が確定する。