85棟中82棟に危険性 緊急道路沿い、和歌山県が公表
和歌山県は9日、災害時の緊急車両の通行確保を目的に、指定道路沿いの建築物85棟の耐震診断結果を取りまとめたところ、82棟で大規模地震により倒壊や崩壊する危険性があることを明らかにした。このうち特に67棟は「危険性が高い」と判断された。 【空き家を資源に生かそう 田辺市が民間と連携強化へ、和歌山の記事はこちら】 県は2021年4月、緊急輸送道路のうち、高速道路インターチェンジ(IC)と県有施設や市町村役場などを結ぶ道路43路線を、法律に基づき、特に沿道建築物の耐震化を促進すべき道路と指定。旧耐震基準となる1981年5月末以前に建築に着手され、道路幅の半分以上の高さがある沿道建築物に耐震診断を義務付け、結果を県に報告するよう求めていた。 対象となる建築物は99棟で、このうち13棟は除去や建て替えされた。残り86棟のうち「危険性が高い」が67棟、「危険性がある」が15棟で、これらについて県は引き続き、補助制度を設けて耐震化を進める。 例えば南紀田辺IC-西牟婁振興局間(市道明洋団地古町線や国道42号など計6・5キロ)では、ホテルや事務所ビルなど9棟で危険性が高いとされた。 一方、県内で「危険性が低い」と判断されたのは3棟。所有者不明で耐震診断をしていなかったのが1棟で、所有者の特定を目指す。 各建築物の耐震診断の結果は、和歌山市内分は和歌山市ホームページ(HP)、同市以外は県建築住宅課HPで公表している。 県建築住宅課は「道路が倒壊した建物でふさがれると、緊急車両や物資輸送車両の通行が阻害される。引き続き所有者に耐震改修を依頼するなど、耐震化を促進していく」と話している。
紀伊民報