ゲスの極み乙女、4人に訪れた“10の転機”をたどる1万字インタビュー 結成から改名、そして現在を語る
⑧コロナ禍:「声出しできない時でも大丈夫だったんですけど、OKになった瞬間には“おー!”って」
――これはゲスに限らず世のなかの大きな転機だったと思うんですけど、コロナ禍の時期はどうでしたか? インディゴのメンバーはよく「もともと盛り上がってなかったからそんなに変わらなかった」って言ってますけど、ゲスは違ったんじゃないですか? 川谷:でも、僕らもその頃はずっとホールでライブをやって空気感には慣れていたし、そんなに影響がなかったような気もする。 課長:そうだね。だから声出しできない時でも大丈夫だったんですけど、声出しOKになった瞬間には「おー!」って思った。 ――ああ、戻ってきた時に? 川谷:声出しOKになった去年のツアー(『ゲスの極み乙女 ONEMAN TOUR 2023「歌舞伎乙女」』)、名古屋ダイヤモンドホールの熱量がすごかったんです。これは本当に違うなって、たぶん全員が思ったと思う。 ちゃんMARI:うん、グッときちゃった。 川谷:声出しOKになってパフォーマンスも変わりましたからね。 ――ゲスはライブをずっと大事にしてきたバンドだと思うんですけど、ライブをする機会自体が貴重になってきているというのもあって、1本にかける思いが変わってきてるのかなとも思います。 川谷:そうですね。今回のツアーもめちゃくちゃ本数があって、スケジュールもギュッとしてるからまた成長していくだろうし、それは楽しみだなって思います。 ⑨「ゲスの極み乙女。」から「ゲスの極み乙女」へ改名:「『。』が取れたのはちょっと悲しかったなあ。いつか帰ってきてくれるかな?」 ――そして10周年を迎えて、バンド名から「。」が取れました。「終わりが来ないように」という意味合いだと説明がありましたけど、そこにはどんな気持ちの変化が表れていたんでしょうか? 川谷:10周年だったのもあって、何かしらのアクションをしようと思って、「。」を取っただけというか。みんなで考えたって感じもあまりなかったんですよね。 ちゃんMARI:そうそう。「取れるんだ」みたいな。 川谷:ちょっと寂しがってたけどね、特にほなみちゃんは。 ほな・いこか:うん、寂しかった。違う案として、“ゲスの極み乙女2”もあったんですよ。でも、「果たして本当にそうかなあ」って(笑)。「。」が取れたのはちょっと悲しかったなあ。いつか帰ってきてくれるかな? 川谷:戻す? 明日くらいに。 ほな・いこか:早いね(笑)。 ちゃんMARI:ゲッターズ飯田さんが「あの『。』がいいんだよ」みたいなことを前に言ってたからさ。 ――ああ、占い的な意味で? 川谷:じゃあつけよう。今日決めたから、明日から(笑)。 ――一度取ったので、しばらくは取ったままでいいんじゃないですか? 川谷:でも、もう2年くらい経ってるし。 課長:またクレーンでくっつける作業を撮らないと(笑)。 ――でも、あそこで「。」を取ったというのは、川谷さんのなかでこのバンドが続いていく感覚があるんだと思います。 川谷:そうですね。 ――あらためて考えると、川谷さんが始めたバンドやプロジェクトを自分で終わらせたことってないですよね。 川谷:課長とやったボカロ(学生気分)は終わりましたけど……。 ――あれ、終わったんですか(笑)。 川谷:終わってると思います(笑)。美的計画もしばらくやってないけど、あれは不定期ですし。別にやらなくても誰も悲しまないんですよ。ツアーはいつでもできるんですけどね。 ⑩デビュー10周年~今:「一生ふざけつつ、一生かっこよくみたいな感じでいられたらいいな」 ――最後に未来の転機について伺います。ゲスの極み乙女の未来像について、今何か思い描いているものはありますか? 川谷:音楽性としては、もっとハイブリッドなものにしたいなって思う。自分のなかでは、この『ディスコの卵』というアルバムを経てやりたいことが定まってきているので、その作品を作りたいというのももちろんあります。あと台湾でのライブ(『ゲスの極み乙女 ワンマンツアー 2024 「ナイトクラビング」』7月15日 Zepp New Taipei公演)もあるので、海外の人に向けてもっと発信していきたいなって。 ちゃんMARI:昔とあまり言ってることは変わらないかもしれないですけど、自分たちがおじいちゃん、おばあちゃんになった時に聴き返して「やっぱりいい曲だった」と思えるような曲をこれからも作っていきたいなって思いますね。 課長:この4人でできるっていう、その場の楽しい瞬間に自分が面白くいられるように頑張りたいなって思いますね。それもずっと変わってないです。 ほな・いこか:私も「楽しいな」「面白いな」と思えることがずっと続けられている状態なんで、一生ふざけつつ、一生かっこよくみたいな感じでいられたらいいなと本当に思います。 ――楽曲におけるふざけかたや遊び方も、なんかすごく洗練されてきている感じがしますよね。 川谷:そうですね。でも、洗練されていると面白くなくなってしまうところもあるので、もうちょっと崩していきたい部分もあって。いろいろ考えてます。 ※1:https://realsound.jp/tech/2019/04/post-342990.html
小川智宏