『光る君へ』写真提供＝NHK

　吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』（NHK総合）。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第41回「揺らぎ」の放送後には、藤原賢子役の南沙良、双寿丸役の伊藤健太郎、そして藤原姸子役の倉沢杏菜が登場した。 【写真】愛おしい笑顔があふれる賢子（南沙良） 　第41回では、即位した三条天皇（木村達成）と道長（柄本佑）の間で、水面下での覇権争いが始まり、道長の息子たちの序列争いも表面化し始めた。そんな中、彰子（見上愛）の妹で三条天皇の女御となった姸子が藤壺に入る。姸子は三条天皇の皇子・敦明親王（阿佐辰美）を藤壺に招き、御簾越しに話をする。そのうち姸子は御簾の外に出ると、敦明に顔を近づけ「好き」「敦明様も延子様より私の方がお好きだもの」と好意を示す。 　姸子の今回の行動は、彰子を慕う敦康親王（片岡千之助）が御簾を越える場面とはまた違う、ハラハラした気持ちにさせられる。敦明にちょっかいをかける姸子は楽しげで、演じる倉沢の笑顔はとても愛らしい。だが敦明の母・娍子（朝倉あき）が現れ、「そこまで！」と声を上げると、途端にふてくされた面持ちになった。敦明の非礼を姸子にわびる娍子と反論する敦明のやりとりに「もういいです」と御簾の中に戻る佇まいには、興ざめした様子がうかがえる。 　第39回では彰子の前で、自分たち姉妹は父・道長の“道具”だと言い放ち、第40回では、姸子の浪費を諫める道長に向かって、父のために三条天皇の后となったのだと不満をあらわにしたうえ、「敦明様がようございました」と言い放った。彰子とは対照的に、あけすけな性格の姸子の言動には驚かされる。だが、倉沢が時折見せる退屈そうなまなざしや孤独感を漂わす佇まいを見ていると、姸子の大胆さはただのワガママというより寂しさの裏返しのようだ。 　倉沢はインタビューにて、藤原姸子について「一見すごく派手好きで浪費に走ったりとか火遊びをしたりとか、すごく華やかなように、楽しく人生を生きていそうに見えるんですけど、本人もすごく実は寂しさだったり孤独感だったり、誰かに気づいてほしいっていうすごく人間らしい感情を抱えながら、もがいて生きている人物だなというふうに思っています」と答えている。 　また、敦明親王にアプローチをかけている姸子だが、その背景にある敦明親王への思いについて倉沢は「年が近いこともあるので、自分のことを理解してくれるかもしれないとか、この環境から救い出してくれるかもしれないっていうような期待」を込めていることを明かした。とはいえ、倉沢は姸子が最も振り向いてほしいのはやはり夫である三条天皇だということも明かしている。 「いろんなほかの男性にちょっかいをかけたりとかしているんですけど、姸子にとってやっぱり唯一の旦那様が三条天皇だなというふうに思っています。なんだかんだ一番振り向いてほしくて、一番『こっちを見てよ』というか……」 　三条天皇と姸子が一緒にいる場面は少ない。一方で、三条天皇と道長が水面下で覇権争いをする中で姸子の名が呼ばれる時、それこそ駆け引きの“道具”のように扱われている印象だ。贅沢が好きなところも、敦明親王にちょっかいをかける無邪気なところも彼女らしさが感じられるが、そのことが寂しさを埋めるためだと考えるとその姿は物悲しくも映る。娍子に対するつんけんした態度も、彼女と三条天皇の深い仲に対する嫉妬心からかもしれない。傍目には自由奔放に見えながらも孤独を抱える姸子の生き様、そしてそれを表現する倉沢の演技に今後も注目だ。