デビュー25周年・後藤真希、アーティストとして活動を続ける理由「ファンの存在が活力」
25年も続けるなんて想像もしていなかった
──だいぶ前の話になりますが、ドリーム モーニング娘。の武道館公演でステージに上がったとき、モーニング娘。時代とは比べものにならないくらいバキバキに踊っていたから驚いたんですよ。 後藤 あのときは「ステージに出る以上、一番目立たないと」という気持ちでやっていました。というか、それはグループ時代も同じですね。「一番じゃないとダメ」という気持ちは常にすごく強かったです。でも、その気持ちはみんなも同じじゃないですかね。ドリムス。のときは久しぶりに「一番にならなきゃ」という気持ちが強く出て、燃えるものがありました。 ──紆余曲折の芸能人生ですが、ここまで25年を振り返ってみていかがですか? 後藤 中1のときは25年も続けるなんて想像もしていなかったし、それどころか19歳くらいで結婚すると思っていました。当時の(所属事務所)社長にも「私、19で結婚して辞めますから」って伝えましたし。あとから社長には「おい、19で結婚という話はどうなったんだよ?」とか冷やかされましたけど(笑)。 ──人生、予定通りに進むことのほうが珍しいですからね。 後藤 しかし、25年かぁ。ホント長いですよね。振り返るといっても、一言じゃ言い表せないな。いろんなことがありすぎた! たとえば織田信長だって、やってきたことを表にしたらA4用紙1枚でまとめられると思うんですよ。私の場合、ドラマとか舞台とかライブとかも合わせたらとんでもないことになるので。 ──織田信長は桶狭間の戦いが1560年で、本能寺の変が1582年。後藤さんの25周年に対して、22年しか実質的な活動期間がなかったという見方もできます。 後藤 ……ん? ヤバいな。これじゃ私が織田さん以上の偉人だと自慢しているみたいに思われるか(笑)。でも25年も経てば世の中も変わるし、その時代に合わせて活動をしていくような部分もありましたね。だってデビューした13歳のときなんて、ガラケーで着メロとか入れて過ごしていたんですよ。まさかスマホというものが現れて、仕事でそれがめちゃくちゃ大事なものになるなんて誰も予想していなかったじゃないですか。 ──いろいろあったとはいえ、続けているということは、結局、この仕事にやりがいを見出しているということでしょうか? 後藤 充実感はあります。それはなぜかというと、ファンの人がいるから。コロナ明けで有観客のライブをやったとき、それは特に強く感じました。芸能人って決まり事みたいに「ファンの人のおかげで……」と言っているように感じるかもだけど、私は本当に感謝しているんですよ。久しぶりに来てくれた人の顔を見て「まだファンでいてくれたんだ!」って感激したり、新しいファンの人を見て「まだ若いのに、どこで知ったの!?」って驚いたり。私にとって活力なんですよね、ファンの方の存在は。 (取材・文/小野田衛) ▼後藤真希(ごとう・まき) 1985年9月23日、東京都出身。99年、モーニング娘。のメンバーとしてデビューし、数多くのヒット作に参加。その後はソロアーティストとして活躍の場を広げる。近年はライブや舞台などのほか、YouTuberとしてもマルチに活動している。24年7月には13年ぶりとなるシングル『CLAP CLAP』、同9月にはミニアルバム『prAyer』をリリースして話題を呼んだ。写真集「flos」が通常版・電子版で発売中。
小野田 衛