激闘を物語っていた。優勝スピーチで言葉を詰まらせ、目に涙を浮かべる岩井千怜＝３日、琉球ＧＣ（撮影・開出牧）

　激闘を物語る涙だった。今季開幕戦で優勝した女子ゴルフの岩井千怜（２１）＝Ｈｏｎｄａ＝だ。 【写真】涙をこらえる岩井千怜　仕草に幼さが残る 　３日に琉球ＧＣで行われた「女子ゴルフ・ダイキン・オーキッド・レディス」の最終日で、西郷真央とのマッチレースを制して、大会記録を更新する通算１８アンダーで優勝。スピーチで言葉を詰まらせ、目に涙を浮かべた。 　２位の西郷真央に１打差の単独首位でスタートした最終日だったが、４度も追いつかれた。勝負の世界は総じて、追う者よりも追われる者の方が苦しい戦いになる。スコアが並んだ時、追いつけばポジティブな思考を抱くが、追いつかれたらプレッシャーや焦りなどのネガティブな感情にとらわれる。 　１４番ホールでバーディーパットを沈め、５度目のリードを奪いガッツポーズを決めたが、心に余裕はなかっただろう。残り４ホールあり、また追いつかれる可能性は十分にある。年上でＪＬＰＧＡツアー６回の優勝経験がある西郷真央だ。少しも気を緩めることはできなかっただろう。１５番ホールでボギーをたたいた西郷に対して、攻撃の手を緩めず１７番ホールでバーディーを奪い、逃げ切った。 　悔しそうな表情を見せても、苦しい表情はみせない。ギャラリーの歓声や声援に笑顔で応える。ファインダー越しに、弱冠２１歳とは思えぬ精神力を感じた。それだけに、優勝スピーチで言葉を詰まらせながら浮かべた涙が、戦いの激しさ、過酷さを物語っていた。幼さが残る少女のような顔で必死に涙をこらえる。私もシャッターを切りながら、熱いものがこみ上げた。 　開幕戦からドラマチックな国内女子ゴルフだ。今年も熱い戦いが期待できそうだ。最後まで優勝争いを演じ盛り上げた西郷プロにも、心からの拍手を送りたい。（デイリースポーツ・開出牧）