なぜ阪神は中日・松坂大輔を打てず自力V消滅となったのか?
阪神は、昨年から松坂にカモにされている。昨年は4試合対戦しているが、2点以上の得点はない。この日の松坂は、昨年に比べて、ボールの力自体は、少し落ちていた。だが、投球術の罠にはめられた。時には、初球に大きなカーブを使ってカウントを稼がれ、カットボールを軸に数種類のスライダーをミックスされ、ここぞいう場面ではチェンジアップもあった。多彩な“配球の妙”に手玉に取られた。こういう相手には、個々で配球を追うとアウトである。 ベンチの統一した攻略指示が必須になる。 「長いイニングを投げることができず中継ぎに負担をかけて申し訳ない」と松坂が反省するように球数が80球を超えてアップアップだったが、阪神は、ベンチを含めて、対策、準備ができていなかった。特に下位打線に工夫が見られなかった。 エース級のボールが打てないのは、根本的な実力の問題だが、松坂が操るような動くボールへの対策は対応力なのだ。 ベンチの不可解采配もあった。 7回を藤川、8回をジョンソンと勝利方程式できて、9回に守護神のドリスではなく小野を送ったのである。先攻めの戦略として延長戦を考え「リードしてから守護神」の考え方はある。だが、「いい投手から先に出す」のがセオリーである。ドリスを温存したかったのであれば、小野は、藤川の前、或いは藤川の後で9回ではなかっただろう。 案の定、プレッシャーを感じた小野はコントロールに苦しむ。一死から代打の井領を歩かせた。さらに守備のミスも出た。 平田の右中間を高々と襲った打球にグラブを差し出しながらランニングした近本が追いつきながらスルー。捕球できなかったのだ。 「(スタンドの)上段まで行ったかなと思ったけど、どちらかといえば近本選手のグローブに入りかけていた。危なかった」と、試合後、平田が語ったような打球。松坂を唯一苦しめたのが近本の2安打と足だっただけに責めるのは酷かもしれないが、ここでミスをするような選手は一流プレーヤーになれない。 そして、さらに不可解な采配が続く。中日打線は、大島、アルモンテと左が2人並ぶが、大島を満塁策で申告敬遠し、そのまま続く左のアルモンテにも小野を続投させたのだ。しかも、アルモンテに小野の初球の変化球はホームベースの前でワンバウンドとなった。ガチガチで唇の色は紫色になっていた。ブルペンには島本、岩崎、能見と3人の左投手がいた。状況を見て“小刻み継投”するようなプランは頭になかったのだろうか。