クマ7時間「籠城」 砺波の屋敷林、発砲し駆除
●ドンと銃声「逃げなさい」 27日午前5時ごろ、砺波市狐島の田んぼで、クマを目撃した住民から110番通報があった。クマは午前9時ごろ、同所の民家敷地内の屋敷林に侵入して木の上に座り込んだため、砺波署員や市職員らが民家を包囲して警戒した。11時間20分後の午後4時半ごろ、降りてきたところを猟友会員が発砲し、同37分ごろ、200メートル離れた別の民家の庭で駆除した。けが人はいなかった。 【写真】駆除されたクマのものとみられる足跡=27日午前11時25分、砺波市狐島 市によると、クマは約1・1メートルの成獣のオスで、午前9時ごろに民家敷地に侵入。同10時ごろカシの木に上り、高さ約8メートルの枝分かれした部分に居座った。家人は侵入前に避難して無事だった。 砺波署、砺波消防署、県、市が延べ40人態勢で包囲したが、こうちゃく状態が続いたため、猟友会員が電動エアガンの弾を当てて降りてくるよう誘導したが効果はなかった。クマが自然に降りてきたところで発砲し、腹と後ろ足を撃たれたクマは別の民家敷地まで逃げ込んだ。 県自然博物園ねいの里によると、高岡市戸出大清水で26日、小矢部市綾子で24日に目撃情報があり、茂みを伝って砺波市内に移動してきた可能性がある。 現場は田んぼに住宅が点在する散居村で、狐島公民館から北西に約400メートル。砺波市教委は砺波北部小に対し、登校時は全校児童、下校時は若林地区の児童の保護者による送迎を呼び掛けた。 ●「平野で見るの初めて」 クマが駆除された民家の岡龍夫さん(83)方の妻は「家にいたら、『ドン』と銃声が1発聞こえた。まさか庭に逃げ込むなんて」と不安な表情を見せた。過去に地区の自治振興会長も務めた岡さんは「住民にけががなくて良かった。これで安心して眠られる」と胸をなで下ろした。 午前5時ごろ、自宅前でクマを目撃して110番通報した狐島の野原修さん(66)は「畑でえさを探しているようにうろうろしていた。こんな平野部でクマを見るのは初めて」と話した。 野原さん宅近くの60代女性も「警察官が田んぼを調べていて、足跡がいくつもあった。こんな近くに現われるなんて怖い」と驚いた。吉田幸信さん(77)が屋敷林にクマが逃げ込むところを目撃。午後4時ごろには屋敷林から逃げ出すクマと再び遭遇した。吉田さんは「車を停めて離れた場所で見ていたら、こちらに向かってきた。警察官から『逃げなさい』と言われ、慌てて車に乗った」と振り返った。