小林陵侑「ネガティブだった自分を変えたHIPHOPとの出会い」
「ジャンプを続けたい」と思わせる環境づくりを目指して
スキージャンプ・ワールドカップで2度の個人総合優勝を果たし、2022年北京オリンピック男子個人ノーマルヒルで金メダルを獲得。世界で最も美しいジャンプの飛型の持ち主とされる小林陵侑さん。インタビュー前編では、トップアスリートになるまでの軌跡を辿ったが、後編では、今年4月にプロになって以降の、「これから」のビジョンについて聞いた。 【写真を見る】試合中には見られないいろんな表情を見せる、北京五輪金メダリスト小林陵侑選手
「プロになる前にも思ったことなんですが、日本でスキージャンプを広めていく上で大切なのは、僕や高梨沙羅選手とかが、大会でいい成績を残して注目されることももちろんですが、そこにいかに周りの人を巻き込んでいくかだと思うんですよね。プロになってからは、一緒に考えてくれる人たちが、『こんなことしてみたら?』とか、いろんなアイデアやアドバイスをくれて。今日の取材もそうですが、『もっとスキージャンプの良さを広めていこう』と、いろんな業界の方が協力してくれる。だから、今一緒にやってる人たちの力を借りて、いろんな角度から、スキージャンプを盛り上げていきたいです」 名前の出た高梨沙羅選手のほか、北京オリンピック出場の中村直幹選手と一緒に、同学年で仲の良い3人で海外のコーチを呼んで日本で合宿をしたのも、プロになってからの新しい試みだという。 「みんなチームは別々ですけど、その枠を超えて、自分たちで考えたプロジェクトです。今までは各々が海外で合宿をするのが普通でしたが、今年は3人で、新潟や長野で合宿をして……。日本ではどうしても、個人より団体競技の方が盛り上がるけれど、ノルディックの団体競技に必要なのは、個人の選手一人一人の強さなんです。今回は、現地で子どもたちと触れ合ったりもしましたが、本当にうまい子が多くてビックリしましたし、その子たちが高校を卒業しても『スキージャンプを続けたい』って思える環境にしなきゃいけないと思いました。ウインタースポーツは、道具も高いし、遠征費もかかる。どれくらいの結果を出せばワールドカップに出場できるか、その基準も明確化されていないので。新しいことを始めれば始めるほど、いろんな課題が山積みになります(苦笑)」