「もう辞めた方がいい」「途中で帰った客は二度と見に来ない」“ミラモン”松本圭佑がパーフェクト判定勝利で日本王座V3も山場のない“塩試合”に父と大橋会長が厳しい“ダメ出し”
大橋会長は、さらに「1、2ラウンドで倒せば世界という声も出ていただろうけれど一から出直し」と、世界挑戦計画が白紙に戻ったことを明かした。 ひと昔前はフェザー級の世界挑戦はファイトマネーや層の厚さも含めて実現は容易ではなかった。しかし村田諒太や井上尚弥が、配信ビジネスの世界を切り拓いたことですでに大橋ジムでは、ロンドン五輪銅メダリスト清水聡のWBO世界フェザー級タイトルへの挑戦を実現、海外では阿部麗也(KG大和)がIBF王者に挑戦するなど、手の届かないベルトではなくなっている。しかも、WBA世界フェザー級の新王者になったばかりのニック・ボール(英国)や、WBOのベルトの初防衛に成功した1m85と長身のラファエル・エスピノーザ(メキシコ)らまだしっかりとした実力の伴っていない“狙い時”の王者もいる。 それだけに現在WBC13位、IBF9位にランキングされている松本が、ここでやってしまった“塩試合”の代償はあまりにも大きい。 父の好二氏は、控室でパイプ椅子でうなだれる息子を報道陣の前で“公開説教”した。 「最悪ですね。(前戦の)前田戦のような形で藤田を叩けば、世界もいけるかなと思っていたが、体の動き、パンチ、全部にキレもなかった。キレがないなら、くっついて手数を出さなければならないのに、それもできない。“いけ!”といってもいかない。いったい何を練習してきたのか。こんなんだったらボクシングはもう辞めろ。やる意味がない」 “引退”を勧告した。 「世界王者になりたい、なるというのなら見せなきゃいけない。僕も現役時代に下手をうった試合もあるが、今日のような展開ならストップまでは持っていける。今の評価は0点。親として怒りたい」 どちらかと言えば、優しく見守ってきた父の好二氏が、ここまで過激に怒るのは珍しい。それほど歯がゆい内容だったのだろう。 もちろん松本自身もことの重大さは痛いほどわかっている。 「今日の出来だと(世界戦は)組ませてもらえない。やっても遊ばれて終わる。もう一度、初心に帰りたい」 世界の2文字は封印した。ただ急がないと2026年には井上尚弥がフェザー級に転級してくるので挑戦するベルトがなくなってしまう可能性もある。11勝(7KO)無敗の“ミラモン”が持つ潜在能力に疑いはない。世界の頂点に立った後に、振り返れば、あの時、ダメ出しを出された“塩試合”があったからこそ…と振り返るステップにすればいい。次こそ真価が問われる世界への“テストマッチ”となる。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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