星野真里「若い頃は世界が狭まって見えていた」年を重ねて見つけた開放された自分
女優・星野真里が加藤ローサとW主演するドラマ『きみの継ぐ香りは』(TOKYO MX)は毎週金曜よる9時25分より放送中。本作は、小川まるに氏による同名コミックの実写ドラマ化で、星野が演じるのは、複雑な恋心と向き合っていくシングルマザーの主人公・桜。大学時代の初恋相手である萌音(加藤)が結婚したことをきっかけに息子という“宝物”を授かった桜への思いや作品の見どころを、実生活でも1児の母として過ごす星野に語ってもらった。 【別カット】星野真里の撮りおろしカット【4点】 ──本作のオファーを受けた際の心境を聞かせてください。 星野 原作が本当に素晴らしすぎて、「この世界に入っていいんだ」「こんなに素敵な女性を演じさせていただけるんだ」と、原作を読んだイメージの先に、私の顔を思い浮かべていただいたことが、本当にたまらなく嬉しくて、是非ともやらせていただきたいと思いました。 ──実際に作品に参加してみて、改めて感じたことはありますか。 星野 好きな人が、“好きな人”なだけではなく、それ以前に“心を許せる親友である”ということに「すごく難しいかも」とふと立ち止まった瞬間がありました。きっと何でも悩みを打ち明けられたり、色んなことを相談できたりする相手だけど、自分は彼女に対してときめいてしまっている。 その部分を隠さなくてはいけない、ということを桜はどうやって整理してきたんだろうと考えると、「大変なことをやらなくてはいけないんだ」って。実際に現場で加藤さんとお芝居をさせていただく中でどんどんとその沼にはまっていって、複雑さに戸惑った瞬間もありました。 ──本作の記者発表会では、星野さん自身が学生時代の恋で猛アタックをしたという話も出ていました。桜の内に秘めた恋心とは対照的ですよね。 星野 そう、私はそれができないんですよ。すぐに白黒はっきりつけたがる性格なので、秘める恋はとても難しいです(笑)。恋をする気持ちはすごく分かるし、色々な願望もきっとあるはずだと思いますが、桜はそれよりも萌音と一緒にいる時間を選んだのかもしれません。それでも萌音の結婚という大きな出来事があって、そのバランスが崩れてしまったんだと思うので、難しいです。 ──萌音が結婚した後、シングルマザーとなった桜の心情を星野さんはどう想像しましたか。 星野 桜という女性は「大切だ」と思ったものを本当に大切にできる人だから、萌音に対する思いにふたをしてしまったその時期はとても辛かったと思います。でも子どもに出会えた瞬間からは、自分の愛情を注げる相手ができて、一緒にいられる幸せを感じながら生きてきたんじゃないのかなと想像しました。 ──本作は、萌音に対する桜の恋心だけでなく、親子間の愛情、家族愛がしっかり描かれた作品だと感じました。 星野 そうなんです。この作品を紹介する時にはどうしても“同性に対する恋心”というものがフィーチャーされがちなんですけれども、特別にそこをフィーチャーしたいというわけではない。そもそも企画の段階で、色々な心、感情、それぞれが持つ揺れを描きたいというものでした。 原作もそうですし、ドラマの脚本にした時も、それぞれの気持ちが丁寧に描かれています。“家族愛”と言葉にした時にイメージするような家族ではないかもしれないけれど、物語を見てもらえれば「これは家族愛以外の何者でもないよね」と思っていただけると思います。その言葉の持つイメージを、良い意味で裏切ってくれるような世界だと思いました。