抜け穴だらけの“ザル法” 批判の声も…裏金問題を受け「改正政治資金規正法」成立 いまだ残る問題点を専門家が解説
◆データベース化もされておらず、調査も一苦労…
塚越:他にも変わったところはいくつかありますが、野党が求めた企業団体「献金」の制限や禁止は盛り込まれていません。政治にお金がかかると言われていますが、だったら少なくとも、税金を原資とする「政党交付金」をなくしてほしいと私は思います。さらに企業献金を禁止にしないなら、どの企業がどれくらい献金しているのかが分かるようにルールをつくるべきかと思います。 というのも、問題になっている「政治資金規正法」は、単に政治家のお金を減らすのが目的ではありません。現状の法律には最初に「政治活動が国民の不断の監視と批判の下におこなわれるようにするため」と書いています。 どういうことかというと、お金の収支を明らかにするのが目的で、「献金してはダメ」と言っているわけではありません。むしろ献金などの国民の自発的意思を損なってはならないとも書いてあります。 お金を受け取ってもいいけれど、全部ガラス張りにして、どういうふうにあるのか、国民が分かるようにチェックしましょう、という話です。結局これができていないなと思います。 ユージ:お金に関して、ブラックボックスのままだと納得できませんね。 塚越:さらにいうと、公開される情報は「データベース化」する必要があります。まず今回の裏金問題は、最初に「赤旗」が報じた後に神戸大学の上脇博之教授が、正月返上で公開されている情報を調べたことで発覚しました。あくまで氷山の一角です。 公開されている文書の多くは「PDF」という形式で、要するに文書があるだけで(データベース上での検索・比較などができない)、教授は政治資金報告書から派閥の収入の報告書とパーティー券を買っている政治団体の資質を1個ずつ比べました。とても大変な作業です。 例えば「岸田文雄」などの名前で検索すれば、すぐに分かるようなデータベースを作るべきですし、そのためにはExcelなどにまとめたデータが必須です。法律が通っても、膨大な量があるのでこれを調べないといけません。 データベースができていないのが問題だと、ビデオジャーナリストの神保哲生さんが話しています。あまりメディアで言われていないのですが、非常に重要です。ここを今後、法律で詰めていかないと、我々も監視できなくなってしまうのが問題だと思います。 ユージ:改めて、この政治資金規正法についてどう思いますか? 塚越:やはり、“ザル”法なのかなと思います。「変えたくない」という自民党の意思が透けているように私は見えてしまいます。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年6月20日(木)放送より)