トヨタグループ8社 風土改革に本腰 相次ぐ不正で原点回帰
トヨタグループは、グループ内で相次ぎ発覚した認証不正問題に強い危機感を示している。2日開催のグループ8社の決算記者会見で、各社の幹部は「現場が正しく声を上げ、止めるべきことを止められる風土にする」(アイシン・伊藤慎太郎取締役副社長)などと強い決意を示した上で、抜本的な風土改革に取り組む姿勢を強調した。 立ち返り 「再発防止の取り組みを徹底する」 豊田自動織機の高木博康執行職はこう話し、エンジン認証不正問題への決意を誓った。 同社ではエンジン不正問題に関し、新たに自動車用ディーゼルエンジンでも法規違反が発覚。すでに問題が明らかになった昨年3月以降、開発と認証部門の分離、法規認証の専門部署の発足など、矢継ぎ早に対策をとってきた。高木氏は「品質監査の機能やコンプライアンス(法令順守)の活動を強化している。特別調査委員会からの提言も踏まえ、これからも取り組みを進める」と強調する。 デンソーの松井靖副社長も「これまで『品質のデンソー』と自負してきたが、これが揺らいでいる、と強く自覚している」と、率直に語る。
不正ではないが、同社製燃料ポンプの不具合に伴い完成車メーカーの間でリコールが広がる事態に見舞われているからだ。松井氏は「(リコール拡大は)当社の知見が及ばなかった部分があると反省している。品質のデンソーに立ち返り、まずは信用回復に努める」と話す。 新ビジョン 一部のグループの不正を受け、各社は品質確保やコンプライアンスを徹底する社内体制の改革に取り組んでいる。 豊田合成は1月、新しい部署・法規認証室を立ち上げた。製品の開発から量産まで法規に適合しているか否かを一気通貫で確認する体制を整えるという。愛知製鋼も4月にコンプライアンス強化のため「リスクマネジメント本部」を設立する。 さらに、相次ぐ不正の背景には、風通しの悪さを指摘する声も。トヨタ自動車の豊田章男会長は1月30日、新しいビジョン「次の道を発明しよう」を発表。正しいものづくりへの原点回帰を訴えた。 トヨタ紡織の岩森俊一取締役執行役員は「不正を他山の石とし、風通しの良い風土づくりに取り組む。新ビジョンの心構えを見失っていないか、未来への種まきができているのか議論を始めている。加えて社員への浸透活動も検討している」と話す。