中間貯蔵の使用済み核燃料「六ケ所へ搬出」明記 エネルギー基本計画原案 再処理工場は長期利用
経済産業省は17日の有識者会議で、エネルギーの中長期的な政策指針「エネルギー基本計画」の原案を示した。11月に事業開始した中間貯蔵施設(青森県むつ市)で最長50年保管する使用済み核燃料を、六ケ所再処理工場(六ケ所村)に搬出する方針を初めて明記。再処理工場の操業期間は40年が目安とされてきたが、原案には「長期利用を進める」と記し、中間貯蔵後の搬出先となり得るよう、長期利用を打ち出して帳尻を合わせた格好だ。 中間貯蔵施設は、再処理して再び燃料化する使用済み核燃料を受け入れる。安全協定を巡る議論で、貯蔵期間の50年以内に核燃料を運び出す明確な搬出先が示されず、地元から「永久貯蔵」への懸念が出た。宮下宗一郎知事と7月に会談した斎藤健経産相(当時)は「六ケ所搬出」「長期利用」に触れ、基本計画で具体化を図ると明言した経緯がある。 経産省は原案で「中間貯蔵施設の使用済み核燃料は六ケ所再処理工場へ搬出」「同工場の安定的な長期利用を進める」と明示。長期利用に向けては「メンテナンス技術の高度化、サプライチェーン(供給網)・技術の維持を官民で対応を進める」と書き込んだ。 長期利用は7次に及ぶ基本計画で初めて記された。2006年に経産省がまとめた原子力立国計画で、再処理工場の操業開始を「07年8月」、操業終了を「45年頃」と想定したように、操業期間は40年程度が目安とされてきた。 それを経産省は、今改定の議論で「40年で維持や取り換えが困難となり、プラント全体の廃止が必要な設備は想定されていない」と強調。再処理工場に先んじて操業した中間貯蔵施設と時間的な整合を図るべく、長期利用は経産省がひねり出した苦肉の策と言える。 しかし再処理工場は審査中でいまだ操業の見通しが立たず、日本原燃は8月に27回目の完成延期を表明。工場ができないままでは、長期利用も絵に描いた餅に過ぎない。