米財務省がビットコインミキシング「Sinbad」制裁、北朝鮮ラザルスとの関係疑惑で
米財務省がSinbadを制裁
米財務省が、ビットコイン(BTC)のミキシングサービスを提供するシンドバッド(Sinbad)へ11月29日に制裁を課した。シンドバッドのウェブサイトは押収され、現在同サービスは遮断されている。 なおミキシングとは、複数ユーザーの暗号資産(仮想通貨)の取引を混ぜ合わせることで、利用者の取引履歴を匿名化する技術のことだ。そもそも利用者のプライバシーや匿名性の維持に活用されるために開発された。しかし、その特性がサイバー犯罪に関与した資産のロンダリングに利用され、問題視されている。 米国財務省外国資産管理局(OFAC)は声明で、シンドバッドが北朝鮮に関連するハッカー集団ラザルス(Lazarus)による数億ドル規模の強盗事件で得られたうちの数百万ドル相当の暗号資産を処理したと述べている。 米国から制裁を受けているラザルスは、これまでに最大規模の暗号資産強盗を行ったとして告発されている。2022年3月には、ブロックチェーンゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」に関連するプロジェクトから約6億2,000万ドルの暗号資産を盗み出したとされている。 また米連邦捜査局は1月、米暗号資産関連会社ハーモニー(Harmony)のホライゾンブリッジ(Horizon bridge)から1億ドルを盗み出したのはラザルスであると発表している。 「ラザルスグループのような犯罪者が盗んだ資産を洗浄可能にするミキシングサービスは、深刻な結果に直面するだろう」とウォーリー・アデイモ(Wally Adeyemo)財務副長官は29日の声明で述べている。 またアデイモ財務副長官は「財務省と米国政府のパートナーは、シンドバッドのような暗号資産ミキシング業者が違法行為を助長するのを防ぐため、あらゆる手段を駆使する用意がある」ともコメントしている。 シンドバッドはロイターからのメールによるコメント要請に即座に応じなかった。なおシンドバッドのウェブサイトには、FBIとフィンランドおよびオランダの当局が連携した法執行活動の一環として、同サービスが押収されたとのメッセージが表示されている。 また北朝鮮の国連代表部へコメントを求めても返答がなかった。 米財務省によれば、シンドバッドはサイバー犯罪者によって、制裁逃れ、麻薬取引、児童性的虐待に関する資料購入など、悪質な活動に関連する取引を曖昧にするためにも使われているという。 なおシンドバッドへの措置は、同社の米国資産を凍結し、米国人がシンドバッドとの取引を禁止するものである。同社との特定の取引に従事する者も制裁を受けるリスクがある。 ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。 US sanctions cryptocurrency mixer Sinbad over alleged North Korea ties Reporting by Daphne Psaledakis, Kanishka Singh and Paul Grant; Editing by Chizu Nomiyama and Paul Simao
大津賀新也(幻冬舎 あたらしい経済)