定年後の収入も年金に響く…!?「一部支給停止」になる月収はいくら以上?
定年後も、再雇用などを利用して働き続ける方は少なくありません。年金は、条件を満たしていれば働きながらでも受給できるため、老後の資金形成に役立ちます。 しかし、一定の収入額を超えたり、高年齢雇用継続給付を受けたりしていると、受け取れる年金額が減少するケースもあるため、注意が必要です。知らないままでいると、想定より受け取れる年金額が少なく感じる可能性があるでしょう。 今回は、定年後も働き続けた場合に、受け取れる年金が減少するケースについてご紹介します。
定年後も働いたときの年金の扱い
定年後に働いている場合でも、老齢基礎年金は満額受給できます。 一方で、老齢厚生年金は在職老齢年金となり、得た収入に応じて年金額が変動します。また、60歳以降も働いていて65歳未満の方は、受け取る収入が60歳到達時の75%未満となった場合に、高年齢雇用継続給付が受給可能です。
定年後も働いていると年金が減る2つのケース
定年後も働きながら年金を受け取りたい場合は、収入を意識する必要があります。なぜなら、収入の金額によって、年金の支給を一部停止されてしまうケースもあるためです。 1. 給料と老齢厚生年金の月額が合わせて48万円以上 日本年金機構によると、年金を受け取りながら働いて得た月額給与と月額の老齢厚生年金を合計した金額が48万円以上になれば、一部支給停止されたり全額が支給停止されたりする対象になります。48万円を超えたケースで、年金が支給停止される額を求める式は以下の通りです。 ・(老齢厚生年金の月額+賞与も含めた総報酬月額相当額-48万円)÷2 例えば、受給している厚生年金が月額15万円、総報酬月額相当額が55万円だった場合、支給停止額は(15万円+55万円-48万円)÷2となりますので、11万円です。また受け取れる老齢厚生年金の月額は、4万円になります。 なお、年金の一部支給停止される期間は、48万円を超えている間のみになります。給与が減少するなどして48万円より少なくなると、老齢厚生年金は全額が支給されます。 2. 高年齢雇用継続給付を受け取っている 高年齢雇用継続給付とは、雇用保険に5年以上加入していて、60歳以上65歳未満の方の受け取る賃金が、60歳に到達した時点の賃金と比べて、75%未満に減少したときに受け取れる給付金です。最高で賃金の15%相当額が給付されます。 高年齢雇用継続給付を受給していると、在職老齢年金の一部支給停止に加えて、さらに一部支給停止となるケースがあるため、注意しましょう。支給停止される金額は、最高で月収の6%です。 例えば、定年後の月収が20万円の方が、高年齢雇用継続給付に該当し、老齢厚生年金の支給停止割合が6%だとします。計算すると、高年齢雇用継続給付による年金支給停止額は1万2000円です。
働きながら年金を受給すると年金額が減る可能性がある
年金を受給しながら働いて、給与と厚生年金の合計収入が48万円を超えると、48万円を超えた分の2分の1の金額が支給停止となります。 また、定年後の給与が定年前より大きく減少すると、高年齢雇用継続給付が受給可能になります。高年齢雇用継続給付を受給していても、年金の一部支給停止対象になるため、年金受給額を計算する際は注意しましょう。 出典 日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整 在職老齢年金の計算方法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部