旅行すべき世界の25カ所に「金沢」 米大手誌、2025年版に選出
●ナショナルジオグラフィック 東アジアで唯一 米大手誌「ナショナルジオグラフィック」が発表した「2025年に旅行するべき世界の25カ所」に、金沢が東アジアの都市で唯一選ばれた。藩政期の風情を残した街並みを楽しみ、多彩な武家文化を体験するなどして「ほんものの日本」に触れられると評価された。市は今回の選出をアピールし、欧米、オーストラリアの富裕層を中心とした誘客の促進につなげる。 ナショナルジオグラフィック誌は1888年創刊で、自然、動物、宇宙、歴史など多彩なテーマを取り扱う。世界170カ国以上で読まれ、ソーシャルメディアでは5億人以上のフォロワーを抱える。 市によると、同誌は毎年、特定のテーマで世界の注目スポットを「ベスト・オブ・ザ・ワールド」として発表している。今年は「2025年に旅行するべき25カ所」と銘打ち、旅行専門家チームなどが住民と旅行客の双方に利益をもたらす場所を選んだ。 選定理由では京都で問題となっているオーバーツーリズム(観光公害)にも触れ、「金沢ではまだ『ほんものの日本』を味わうことができる」と指摘した。城下町には「木造の茶屋が立ち並ぶ芸者町、日本で最も美しい庭園の一つである兼六園」があるとした。 さらには9月の米エミー賞で18冠に輝いた配信ドラマ「SHOGUN 将軍」を挙げ、「『将軍』に登場する江戸時代の武家町がある」と説明した。 金沢は国内金箔(きんぱく)生産の99%を占めるとし、「工房では繊細な輝きを放つ金箔を使った装飾を体験できる」と紹介した。 ●円安を追い風にインバウンド最多 金沢のインバウンド(訪日客)は急増している。今年上半期に兼六園を訪れた外国人は25万7659人で過去最多となり、特に欧州やオーストラリアからの入り込みは、円安を追い風にコロナ前の約1・5倍に増えた。 市は今回の選出を弾みに金沢の認知度向上を目指す。ナショナルジオグラフィック誌を好みやすい欧米、オーストラリアの富裕層を中心にPRを強化する。市の担当者は「金沢の魅力は市民が大切に守ってきた景観、生活に息づいた武家文化にある。金沢で本物の日本の伝統を体験してほしい」と話した。