音に色が見えたり、味がしたり… ビリー・アイリッシュやビヨンセなどが持つ「共感覚」とは?
音に色がついて見えたり、音に味がしたり、数字が色に見えたり、目から音を感じたりする現象「共感覚」について、ゲームクリエイターの水口哲也さんが解説。音に色が見えると語るAAAMYYYもコメントを寄せた。 水口さんが登場したのはJ-WAVEで放送された番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。オンエアは11月14日(火)。
人間の感覚は、五感くらいじゃ語れない
音に色がついて見える、音に味がしたり、数字が色に見えたり、目から音を感じたりする現象「共感覚(シナスタジア)」。ビリー・アイリッシュ、スティービー・ワンダー、ビヨンセなど名だたるアーティストがこの能力を持っていると公言している。また、ミュージシャンだけでなくレオナルド・ダ・ヴィンチやゴッホも共感覚の持ち主だったと言われている。 今回はSynesthesia Lab(シナスタジアラボ)も主宰し、クリエイターとしては共感覚をテーマにしたさまざまな作品を開発するゲームクリエイターの水口さんに、共感覚について詳しく訊いた。 あっこゴリラ:共感覚は音が色に見える、音に味がする、数字が色に見えるという知覚現象。例えば音に色が見える場合、聴覚という1つの感覚を刺激されることで、色・味といった味覚だったり視覚など複数の感覚に感じることができるもの。1000人に1人が先天的に持っているとされている能力とのこと。水口さんはなぜ共感覚に興味を持たれたんですか? 水口:2001年に「Rez」っていうゲームを作ったんですけど、それは結果的には「共感覚ゲーム」と言われるようになって。サイバースペースを舞台に自分がハッカーとしてその空間を飛んでいて、ウイルスが攻撃してきたりするんですけど、それを打っていくと効果音がどんどん音楽化していって、その音楽が自分が編み出す音楽に変わっていくんです。そこで世界がその音楽に合わせて色めいていったり、世界がだんだん出来上がっていったり、そこで触覚もコントローラーからビートがやってくるような、そういうゲームでした。それを作る過程でシナスタジアを深く知るきっかけがあって、そこからですね。 あっこゴリラ:サイケデリックな音楽を聴いた瞬間にいろんな色が混じり合ってる映像を思い浮かぶ人って多いと思うし、インダストリアルな音楽を聴いたら鉄を想像したり、土着的なビートを聴いたら茶色だって思ったり、そういう後天的に養われる部分もあるのかなって。 水口:もちろんあると思います。先天的なものを持っている人って少ないと思うんだけど、実はイマジネーションも含めて後天的にシナスタジアは全員が持っているものなんですよね。それがクリエイティブの源泉だと思っています。 水口さんは「みんな五感って言うけど、人間の感覚は五感くらいじゃ語れない気がする」と話すと、あっこゴリラも共感する。 水口:例えば、みんなが実感できる五感以外の感覚の中にバランス感覚ってあるじゃないですか。片足上げて立ったときにバランスを取れますよね。このバランスの感覚ってどこの感覚なんだって言われたら五感じゃないですよね。 あっこゴリラ:確かに。 水口:もっと内部的な感覚。人間のもっと奥深くにあって、それが何か作用してる。あとは時間感覚ってのもありますよね。1時間くらいたったとか、今年は早く感じるとか、この感覚ってどこから来るのって。実は五感という表層的なものはほんの一部で、とてもインパクトが強いからみんな視覚とか聴覚に(関心が)いきがちなんだけど、実はもっと中でいろんな感覚があって、それが複合的に絡んでいることなので、そんな単純な話ではないと思います。あと、例えば、「夏の夕立がバッと降ったときのアスファルトの焦げるような匂いを嗅いで、子どもの頃の記憶が一気に蘇る」とかありますよね。複合的に感覚が交差するときにたぶん深い体験とか何かのスイッチが入ったりとか人間はすごくたくさんあると思います。