「やられる立場」インタビュー取材に協力も全カット…やっぱりムカつきます テレビマンは「外から見た自分の姿」知るべきだ
【テレビ用語の基礎知識】 先日、とあるテレビ局のインタビュー取材に協力したら、全カットされてかなりムカつきました。いや、これホントはムカついちゃいけないんでしょうね。 なぜなら、これまで30年以上のテレビマン人生で、僕自身が相当な数のインタビュー取材を全カットしているからです。 番組には時間の制約がある。突発事態が発生したり、状況が変わったり、あるいは「もっと面白いもの」が撮れてしまったりすれば、誰かのインタビューをカットすることなんて、日常茶飯事です。 事情はよく分かっています。しようがないよな、とも思う。でもやっぱりムカつきます。僕はテレビを批判するのを仕事にしているので、いまテレビ局からの出演依頼は原則お断りしていますが、今回は先方の都合を考えてOKした。忙しい中、時間を調整させられて、数時間拘束されて、しかもインタビューに適した場所まで探させられて、かつ一銭ももらえるわけじゃない。(謝礼品はくれましたけど)それで全カット。 事情がいくら了解できても、腹が立つものは腹が立つんです。きっとこれまでに僕がカットしたすべての取材先も同じような気持ちだったでしょうね。「バチが当たった」と思います。 人間って愚かですよね。いや、僕が愚かなだけかもしれませんが、自分がやられる立場に実際になってみないと、その気持ちは分からない。表面上は僕も「インタビューをカットされた人はきっと怒っているだろうから、丁寧に謝罪しないと」とか言ってましたけど、実際やられる気持ちは、本当には分かっていませんでした。 局員でいる頃には、局員がいかに傲慢で世間知らずな存在かは、さっぱり分からなかった。テレビ業界以外の仕事もさせてもらうようになってから、テレビ業界がいかに外の世界から乖離(かいり)しているかを初めて知った。やっぱり実際に体験してみないと、本当のところは分からない。 だからぜひテレビマン、特にテレビ局員には、全然別の業界に出向する制度を作るとか、別の業界からの中途採用をもっと増やすとかして、「外から見た自分たちの姿」をきちんと知ってほしいな、と思います。ひょっとしてそれが、今いろいろ起きているテレビ業界の問題を解決するための、とても良い手段なのかもしれないなと思います。 「先生は世間をよく知らないから、社会人経験がある人を教員にした方がいい」なんてよく言われますけど、それとまったくおんなじことがテレビ業界にも言えるのかもしれませんね。
■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。
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