鮮魚からかまぼこ作る伝統的な技を間近に…山口県萩市「村田蒲鉾店」で見学受け入れ「目と耳でも堪能して」
「焼き抜き蒲鉾」発祥の地の一つ、山口県萩市椿東の蒲鉾製造販売会社「村田蒲鉾店」(村田大輔社長)が今夏から、鮮魚からのかまぼこづくりの見学を受け入れている。伝統的な技を間近に見ることができる全国的にも珍しい取り組みで、同店は「萩に根づいたモノ作り。食べる前に目と耳でも堪能してほしい」と呼び掛けている。(木崎俊勝) 【写真】唐戸市場で仕入れたエソをさばく従業員
同店は1961年、市内の港町・浜崎地区で創業。当時、業務用冷蔵庫を所有していなかった創業者の村田四郎さん(故人)は毎朝市場で鮮魚を仕入れ、その日のうちにかまぼこにして販売したという。かまぼこは蒸す製法が一般的だが、県特産の焼き抜き蒲鉾は板にすり身を盛って100度以上の遠火で40~50分かけて焼いて仕上げる。蒸す製法が普及する以前の藩政時代に始まったとされる。
工場見学は、市販のかまぼこの多くが冷凍すり身を原料にする中、鮮魚のエソを1匹ずつさばくところから始まる昔ながらの作り方を消費者に知ってもらおうと、今夏から始めた。
同店が特に見学を勧めるのが看板商品「村四郎」(1本140グラム、972円)の製造工程だ。下関市の唐戸市場から届いたエソを、従業員が包丁で頭を落とし、皮と骨をはぐ。続いて行う「晒し」は、身の余分な皮脂を井戸水で落とす作業で、出来栄えを決めるという。
同店生産管理部長の中川剛志さん(39)は「晒しに使う水は魚の鮮度を見極め、硬度の異なる二か所の井戸水を混ぜて調整している。創業時から変わらぬかまぼこの味を再現しようと現社長が20年ほど前に考案した」と説明する。
工場見学は午前9時~正午と午後1~4時に実施しており、所要時間は約20分。ただし、水、日曜日は工場が稼働しておらず、エソのさばきや晒しは仕入れがある月数回しか見ることができない。従業員によるガイド付きの場合は2日前までに同店ホームページで予約が必要。
1人から受け付けており料金は無料。中川さんは「見学後は、当店の直売所でかまぼこを購入し、味わってほしい」と話している。申し込み、問い合わせは同店(0838・22・0877)へ。