その座席、実は超豪華! 驚きの移植「座席だけ名列車」たち ライバル私鉄が“夢の競演”している車両も!?
名車の座席を譲り受け引退した車両
鉄道車両の引退は、いつの時代も話題となります。引退した車両はたいていが廃車解体され、印刷物や動画でしかその存在を見ることができなくなります。しかし、部分的とはいえ現役時代の名残を実感できる車両も存在します。それは「廃部品がほかの車両へ流用された」ケースです。 【写真】かつての名車に座れる! 流用された列車座席をイッキ見 今回は座席鉄である筆者(安藤昌季:乗りものライター)が座席に着目し、現役時代に名車とされた車両の座席を受け継いだ車両をいくつか紹介していきます。まずは、座席を譲渡した車両、受け継いだ車両の双方が引退している事例から。 ■JR九州485系電車「RED EXPRESS」 国鉄特急形を改装したJR九州の485系ですが、改装で設置された半室グリーン車には、0系新幹線のグリーン席が1+2列配置で設置されていました。0系グリーン車は2001(平成13)年に消滅しましたが、この485系(クロハ481形)は2011(平成23)年まで運行されました。 ■JR九州キハ31形気動車 1987(昭和62)年に国鉄が製造した気動車で、観光路線でのサービス改善のために、0系新幹線普通車の転換式クロスシートを1+2列、座席間隔910mmで装備しました。オリジナルの座席間隔940mmよりやや狭かったものの、横引きカーテンでの個別窓は特急形のようで、“新幹線感”を味わえる車両でした。2019(平成31)年に引退しています。 このほか0系新幹線の座席を装備した引退車両として50系客車の快速「海峡」や、国鉄特急形グリーン車の座席を装備した165系電車、14系客車なども存在しますが、筆者が乗車していないため割愛します。ここからは今なお乗車できる車両を紹介します。
「ニューレッドアロー」の座席は2社へ
■JR四国キハ32形気動車「鉄道ホビートレイン」 キハ32形は国鉄末期の1987(昭和62)年に製造された、JR四国の気動車です。本来はオールロングシートですが、2014(平成26)年に予土線の観光列車「鉄道ホビートレイン」として、0系新幹線を模した姿に改造されました。車内にはHOゲージの鉄道模型が飾られ、運賃表示器には東海道新幹線開業当初の12駅の駅名が掲載されているなど、遊び心のある楽しい車両です。 そして車内の一部座席が0系新幹線普通席と同じ転換式クロスシートに交換されています。色も0系オリジナルの銀を基調としたもの。もっとも、キハ32形は現在では珍しい金属バネ台車を装備した車両で、乗り心地から新幹線を感じるのは難しいですが。 ■秩父鉄道6000系電車 2005(平成17)年に登場した、有料急行「秩父路」用の車両です。西武鉄道10000系「ニューレッドアロー」のリニューアル前の座席を装備しています。集団見合い式の座席配置で、一部座席ではリクライニング機能も使用可能です。なお、車両中央部は向かい合わせながら固定窓なので、“特急感”があります。 ■伊豆急行8000系電車 同じく2005年より投入された、伊豆急行の通勤形電車です。西武鉄道10000系のリニューアル前の座席を備えています。 座席配置は秩父鉄道6000系とは異なり、片側にボックスシートとして10000系の座席を配置し、もう片側はロングシートです。リクライニング機能は固定されています。 西武10000系自体は2024年現在で現役車両ですが、すでに全車両の置き換えが発表されており、秩父鉄道6000系と伊豆急行8000系のオリジナル座席は10000系より後まで残る可能性があります。