衆院選「3分の2」「過半数」は何議席? 坂東太郎のよく分かる時事用語
●安定多数は「244」
過半数でけりがつくのは本会議。ただ日本の国会は委員会中心主義を採用しています。17ある常任委員会で可決された法案などが本会議にかけられる仕組みです。国会議員は1つ以上の常任委員である必要があります。 安定多数とはこの委員会で与党が委員長を出し、なおかつ委員の半数が与党である状態です。言い換えると委員の半分が野党なので可否同数が生じかねません。その際には委員長が決裁できます。与党出身ならば与党案をYESとするでしょう。 現在の委員会は次のようになっています。安定多数は単に委員数の過半数。例えば委員数40人ならば40÷2=20人に1人を加えます。奇数の場合は小数点以下を切り上げます。うち1人が委員長になるので可否同数があり得るのです (1)委員数50人が1つ(延べ50人)。安定多数の条件を満たすには26人必要。 (2)委員数45人が2つ(延べ90人)。安定多数の条件を満たすには23人で23×2=46人。 (3)委員数40が7つ(延べ280人)。条件を満たすにはそれぞれ21人で21×7=147人 (4)委員数35が1つ(延べ35人)。条件を満たすには18人 (5)委員数30が4つ(延べ120人)。条件を満たすにはそれぞれ16人で16×4=64人 (6)委員数25人が1つ(延べ25人)。条件を満たすには13人 (7)委員数20人が1つ(延べ20人)。条件を満たすには11人 ここで必要な人数を足し合わせてみると26+46+147+18+64+13+11=325人。一方で委員会の延べ人数は50+90+280+35+120+25+20=620人 したがって325÷620=0.5242(四捨五入)。これを総定数465と掛けると244人(小数点以下切り上げ)が安定多数と分かります。
●絶対安定多数は「261」
安定多数だと委員長決裁という「危ない橋」を渡りかねません。委員長枠17を独占しても過半数になるのが絶対安定多数で安定多数244+17=261人となります。