<リオ五輪>今夜初戦の日韓戦 女子バレー、メダル獲得の可能性は?
――平常心が勝利のキーワードかもしれませんね。 「オリンピックは違う大会なんだ!という覚悟は必要です。でも、それがプレッシャーになってもいけない。私の五輪初出場となったアテネ五輪は、フワフワしたまま終わりました。観客はガラガラでしたが、それは関係なく、五輪というだけで平常心を保つことができませんでした。幸い、今回のメンバーには五輪経験者が4人います。北京、ロンドン五輪に比べるとメンバー入りした経験者は少ないですが、彼女らがコート外の過ごし方も含めて、どうチームを落ち着けるかも重要になってきます」 ――韓国戦の後、カメルーン戦を経てブラジル、ロシア戦が待ちうけます。 「ブラジルは、地元開催で金メダルを狙っているチームです。直前のワールドグランプリでも優勝しています。飛びぬけて大きくはありませんが、攻守において、隙がない、穴がないチーム。それに比べると、少し前までロシアには絶対に勝てないイメージでしたが、そうではなくなってきています。オリンピックのロシアは強いですし、今回はニュースにもなっていたドーピング問題などもあってさらに国として一致団結している雰囲気もありますが、日本が得意とするサーブで崩すことのできるチームです。2強のひとつを倒すとすればロシアでしょう」 ――日本がメダルを獲得するための条件は何になりますか? 「日本が勝つにはサーブです。OQTでは、ターゲットを狙いすぎたことが逆に作用して、プレッシャーのかかったところで攻め切れませんでした。相手に膝をつかせることを考えたり、逆にのけぞらせたりと、選手たちはピンポイントを狙ってサーブを打っています。ただ、狙いすぎると、サーブに強度を保てません。サーブはメンタルが大きく影響します。プレッシャーがかかると強く打つことに怖さが生まれます。いかに平常心でプレーできるか。特に本来は1試合で1本はエースを決めてくれるような、チームの武器であるはずの木村選手のサーブがOQTでは走りませんでした。彼女が本来のサーブの走りを取り戻せば大きなプラスです」 ――大会日程を見てみると、韓国戦が朝の9時半。逆に3試合目のブラジル戦は夜の10時35分、そして4戦目のロシア戦、5戦目のアルゼンチン戦は夜の8時半とバラバラです。 「中1日は問題ないのですが、ここまで試合開始時間がバラバラになると、コンディションの調整は簡単ではありません。初戦の韓国は、いきなり朝の9時半開始です。高校時代でも午前10時開始ですからね。日本代表チームは、これまでそういうスケジュールの中での試合経験が少ないので、どう対応するかも大きな課題です。ここでも、そういう厳しい環境下の海外でのプレー経験のある木村選手や荒木選手のリーダーシップが頼りです」 ――眞鍋監督が“化学反応”を起こしたいと口にしていますが、五輪で起きる可能性のある化学反応とは何でしょうか? 「OQTでのタイ戦のような奇跡だと思います。全員が最後まで、あきらめずに戦い抜いての結果です。4年前のロンドン五輪での中国戦も、化学反応の起きた試合でした。このチームには、それを再現する潜在能力があると思います。木村選手は、4年間苦しんできました。荒木選手はママさんとなってブランクを経てからの復帰コートです。一人ひとりが、いろんな思いを抱えて、あの五輪のコートに立つのです。そういうバックボーンも感じ取りながら過酷な戦いを応援したいです」