水谷豊、『相棒』25年の継続は「私にとっても不思議な現象」 寺脇康文も「豊さんを心から尊敬」 と称賛
■寺脇から見た、水谷のおちゃめな一面
――長いお付き合いのお2人ですが、最近知ったお互い知らなかった一面はありますか? 寺脇:何かあるかな。方向音痴なのは前から知っていましたしね。 水谷:私がセットを出てどこか行こうとすると必ずついてきます(笑)。 寺脇:おひとりでは帰って来られないので“見張り番”ですね(笑)。 水谷:初期の頃もそうでしたか? 寺脇:当時もそうでしたよ。シリーズの何年目かに、特命係のセットの作りが真逆になったんです。部屋への入り方も机の配置も全部反対になったので、豊さんに「反対でやりづらくないですか?」と聞いたら、「本当?」って返ってきて。反対になっていることに気づいてらっしゃらなかった(笑)。 水谷:方向音痴はそういうことに頓着しないんです。 寺脇:『相棒』の前からも作品やプライベートでお付き合いさせていただいているので、最近になって気づいたことはないかもしれないですね。 水谷:長い付き合いだし、隠し事もないですしね。すみません、ネタがなくて(笑)。 ――お互いのことを知り尽くしているのですね。 寺脇:これも前から知っていましたけど、“嘘”をつくのは下手ですね。以前、僕が宣伝で番組に出た際、豊さんがサプライズでメッセージ映像の撮影をしてくれたんです。「豊さん、もしかしてVTRとかで出演してくれましたか」と聞いてしまい、食い気味に「知らない」って。その反応を見てわかってしまいました(笑)。杉下右京としてはいつも完璧な芝居なのに。 ――今年は“警視庁創立150年”ということで、初回でも触れられています。長く続いたからこそ扱えるテーマだと思いますが、水谷さんはどう受け止められていますか。 水谷:警視庁150周年に触れていけることも、我々にとってはリアルでいいなと思います。今シーズンがどうやって警視庁ができたかという興味深い話から始まるのも、警察官というものはどうあるべきかの基本に触れていけるのも、とても良かったかなと思います。 ――最後に改めて新シーズンへの意気込み、水谷さんは杉下右京を演じ続けることへの想いなども聞かせてください。 寺脇:撮影をしていても、「本当に同じドラマなの?」というくらい、どんどん違うことが出てきています。『相棒』といえばといったパターンがないので、僕らも台本をもらうときにワクワクしますし、「今回はこう来たか!」「すごい角度から来た!」みたいな展開が多いですから、みなさんもワクワクしていただければと思います。 水谷:初回は、まさに相棒の基本がここにあるというような社会派エンターテイメントになっています。pre seasonから始まって四半世紀近くやり続けられていられることは、私にとっても不思議な現象だなと思っています。改めて聞かれたので答えていますが、普段そんなことは思ってもいないぐらい、ただ撮影に向かっています。それに動かされてしまうという、『相棒』の持つエネルギーは、私自身にとっても不思議です。さあ今シーズンは何が出てきますかね。 (撮影:筒井翼/取材・文:遠藤政樹)