自動車保険が制度変更 「車両保険」を安くするコツは
「免責」を最大にするのがコツ
では具体的にどうやって掛け金を抑えるかだが、キーワードは「免責」だ。免責とはカンタンに言えば自腹分のこと、あらかじめ決めた金額までは自腹で払いますよという契約だ。保険に入る時はつい「どうせ補償してもらうなら自腹分は少ない方が……」となりがちだがちょっと待って欲しい。 新車のプリウスを買って一括で保険掛け金を払うケースを見てみよう。最近は保険会社の掛け金が横並びでなくなり、頻繁に改定される上、過去の契約や事故、年齢などで細かく異なるのであくまでも一例だが、免責の設定いかんによって、その差額は年間10万円以上になる。車両と対物の免責(自腹)がゼロの場合、つまり損害を全部保険会社が払ってくれるケースでの掛け金は24万300円。車両と対物の免責をともに20万円まであげるとこれが13万7610円に下がる。実に43%もセーブすることができるのだ。 乱暴に言えば月額2万円が月額1万円ちょっとになる。厳しい罰ゲームのせいで、ほとんど使う見込みのない補償にそれだけの差額が発生しているのはいかにも馬鹿馬鹿しい。特別な事情が無い限り、免責は可能な限り大きくすべきだ。ただし、免責は無制限に上げられるわけではなく、ほとんどの保険会社では免責の最大額を20万円に設定している。もちろん最悪のケースでは車両20万円と対物20万円、計40万円の自腹が発生する。その覚悟は必要だが、それで浮く金額があまりにも大きい。 勘違いしてはいけないのだが、これは保険が無意味な商品だということではない。車両保険も対物保険も、例に挙げたシルビアの少年の様に、人生設計が狂う様な負債を背負いこまないためには絶対に必要だ。クルマに乗る以上加入するべきなのは間違いない。ただし、何も考えずに勧められるままに加入すると意外にも無駄が多い商品でもある。あくまでも深刻な事態を避けるための商品であることをドライに判断して、本当に備えるべきリスクだけに絞っておくべきなのだ。 (池田直渡/モータージャーナル)