現在「65歳」ですが家のローンが「75歳」まであります…老後のために貯めた「2000万円」はローンの繰り上げ返済へ回すべき?
余裕をもって貯めたお金を住宅ローンの支払いに充てるケースも少なくありません。しかし、老後の資金として貯めたお金で繰り上げ返済をする場合は、その後の生活に影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。 繰り上げ返済したあとでも急な出費などに対応できるよう、生活できるだけお金が残るのかを確認することは欠かせません。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説 今回は、住宅ローンを繰り上げた場合と繰り上げなかった場合について、比較や、メリット・デメリットについて解説します。
ローン返済の期間による総額の違い
ローンには利息が付いているため、返済期間によって返済総額は変わります。貯金に余裕があるため、返済を繰り上げて終わらせようと考える方もいるでしょう。今回は、以下の条件で期間通りに返済した場合と繰り上げ返済した場合の総額を比べます。 ●ローン残高を1000万円とする ●返済期間は65~75歳の10年間 ●固定金利で金利は1.1%、ほかの手数料については考慮しないものとする ●繰り上げ返済は1年後に一括返済の形で行うとする 条件を基に、期間通りに返済した場合と1年後に一括返済した場合の比較は表1の通りです。 表1
※住宅保証機構株式会社「ローンの繰り上げ返済」を基に筆者作成 期間通りに返済した場合と比べ、1年後に一括返済すると利息が45万9394円安くなることが分かりました。 ■期間通りの返済と繰り上げ返済のメリット・デメリット それぞれのメリットとデメリットを表2にまとめました。 表2
※参考サイトを基に筆者作成 期間通りに返済する場合は、少しずつ支払うので貯金にある程度余裕がある状態をたもてます。しかし、繰り上げ返済よりは利息が多くなる点がデメリットです。 繰り上げ返済をするとローン残高は早くなくなる一方で、手元の資金も一気に減ります。もし大きな病気やけがにより多額の費用が必要となったときに、支払えなくなる可能性もゼロではありません。 総務省「家計調査報告」によると、2022年の65歳以上夫婦の無職世帯は平均支出額が月に26万8508円であることが分かりました。1年に換算すると322万2096円です。一方で年金などの収入は平均で月に24万6237円であり、月額2万2270円、年間26万7240円不足します。 2000万円のうち1000万円を繰り上げ返済に使用し、残りの1000万円で不足分を補うと約37年もつと予測できるでしょう。ただし、急な出費や施設に入居する場合も考えると、年数は短くなる可能性もあります。 ライフプランも考えたうえで、一気にお金を使って返済しても問題ないか確認することが大切です。