【オーストラリア】〔政治スポットライト〕中国首相訪豪、貿易・資源で協力強化狙い
オーストラリアのアルバニージー首相と中国の李強首相は17日、キャンベラで首脳会談を行う。アルバニージー首相は、オーストラリアの貿易や資源部門の成長における中国の重要性をあらためて強調しており、今回協力関係強化を図りたい考え。 李首相は15~18日の日程でオーストラリアを訪問する。 全国紙オーストラリアンによれば、両首相は2日目にアデレードのワイナリーを訪問し、中国が課していた制裁関税を解除したことによるワイン業界の復活をアピールする。一方中国はいまだオーストラリア産ロブスターに輸入規制をかけており、アルバニージー首相は首脳会談で撤廃を求める予定。 また、最終日には共に西オーストラリア州に移動し、資源部門を視察。今後のビジネス面での協力について円卓会議で協議する。 ■未解決の外交問題も 中国外務省の林剣副報道局長は、今回の訪問を「豪中のより成熟した包括的・戦略的パートナーシップを構築する機会と捉えている」とした。 一方、アルバニージー首相は中国軍戦闘機がオーストラリア軍に向け照明弾を投下した件や、中国でスパイ罪に問われ執行猶予付き死刑判決を言い渡されたオーストラリア人作家の楊恒均氏の件も併せて提起し、直接懸念を伝えるとみられている。 野党自由党の影の外相、バーミンガム氏は「国民は未解決の貿易や外交問題、サイバー攻撃や外国干渉に対する中国の今後の対応を見て、今回の訪問を評価する」と述べた。 ■親中派と反中派の衝突懸念 中国共産党中央統一戦線工作部が党員に対し、李首相の訪問を歓迎するためにキャンベラに集結するよう呼びかけている。中国の人権問題に抗議する活動家らも国会議事堂前での集会を計画しており、親中派と反中派の衝突が懸念されている。