<ワン・ゲーム>いざセンバツ交流試合/下 平田・鳥取城北 つなぐ野球、夢舞台で /島根
山陰両県の高校野球県独自大会で、平田(出雲市)と鳥取城北(鳥取市)は手応えをつかむ一方、課題も突きつけられることになった。2020年甲子園高校野球交流試合(センバツ交流試合)は10日開幕し、平田は第2日第2試合で創成館(長崎)と、鳥取城北は第1日第2試合で明徳義塾(高知)と対戦する。新型コロナ禍の特別な春と夏の集大成。両チームは聖地にどんな足跡を刻むのか。【小坂春乃、野原寛史】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 県独自大会で平田は単打や犠打に足を絡め、初戦から危なげなく2連勝して8強入りし、強豪私学・開星戦を迎えた。昨秋の県大会で降し、結果的にセンバツ切符を大きく引き寄せただけに「相手も借りを返そうとしてくるだろう」。エースの古川雅也投手(3年)が力投し、接戦になったが九回に本塁打を浴びて敗戦。古川投手は「インコースを狙ったが真ん中に入ってしまった。体力不足」と悔やんだ。 植田悟監督(48)は「ここからスタートだ」と、走り込み中心の厳しい練習を指示。開星戦であったサインミスを防ぐため、意思疎通のやり方も見直した。強豪私学の創成館に勝って甲子園で校歌を歌いたい。相手の映像のチェックはもちろん、昨夏の甲子園に出場した石見智翠館(江津市)との練習試合をこなし、古川投手はスライダーの新たな攻め方を試すなど意欲にあふれる。 開星の野々村直通監督(68)は平田野球を「個をわきまえて仲間につないでいく」と高く評価する。平田の保科陽太(ひなた)主将は、投打に抜きんでた選手がいないからこそ「自分が犠牲になって走者を送る。三振ではなく打たせて守る。束になってかからないと勝てない」。そんな自分たちの野球を夢舞台で貫いてみせる。 ◇ 「圧倒して優勝する」との目標を掲げた鳥取県独自大会、鳥取城北は決勝で倉吉東の投手の緩急にほんろうされ、5―7で逆転負け。山木博之監督(45)は「粘り強さで負けた」。歓喜して校歌を歌う倉吉東ナインを見ながら河西威飛(いぶき)外野手(3年)は泣いた。大会で打率4割6分6厘、本塁打を含む長打は4本。中軸の役割を十分に果たしたが「ベンチ外の3年生に申し訳なかった。甲子園こそは笑って終わりたい」と語った。 明徳義塾のエース左腕・新地智也投手(3年)は全国屈指の制球力を誇る。山木監督は「最終的には自分たちの人間力、集中力を出せるかだ」と考える。 昨秋の中国大会で準優勝した自信。冬場のきついトレーニング。休校中の孤独な自主練習で精神面も鍛えられた。吉田貫汰主将(3年)は「一生に一度の甲子園。最高のプレーをして勝ちたい」とまなじりを決している。